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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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VS雫パーティー 終

 いきなり衣装チェンジをした雫に驚きを隠せない小枝たちであったが、普通に考えれば雫のパーティーの中でも一番厄介な相手が消えたのは好都合である。わんこを相手にしていたアックスたちまでも雫の相手となるのだから。




「シズちゃん、いきなり装備変えて強そうだけど、それは悪手じゃないかな。」


「そうです、こえだ。あんまりこれは使いたくないんです。只でさえ私が戦わなくちゃいかんですし、この状態の私とわんこならわんこの方が強いですし、でもこれにはこれの強みがあるんです。『夜王』『影槍投擲』」




 雫が使えないはずの『闇夜魔法』を発動させる。おそらくそれがあの格好の効果なのだろうと全員が確信し安堵する。この場にいるメンバーで素人の魔法を食らう者、さらには倒されるものはいないからだ。


 雫は回りに黒いモヤが漂わせ手には黒い槍を握り、それを投げた。誰を狙っているのか分からないため、小枝たちは身構えたが槍は小枝たちの後方に飛んでいってしまった。




「なにシズちゃん。どこ狙ってるの?まあでも槍なんて投げなれてないだろうししょうがないよね。それじゃあそろそろ終わりに――」

「不味いわよ皆。りーりりとアックスのところのマフウさんが今の攻撃で倒されたわ。」

「え、本当ですか。」




 奇襲失敗から多少距離を取りながら攻撃に参加していたりーりりとわんこの餌食にならないように、遠くから支援魔法を飛ばしていたマフウさんは確かに前衛に比べれば耐久面で脆い。しかしそれでも雫の魔法で一撃で沈むほどやわじゃない。しかも距離をとって隠れている二人に正確に命中させるなんてかなり魔法に慣れていないと難しいはずだ。



「まず二人です。『漆黒矢』と『闇の進撃』です。」



 雫が畳み掛ける。小枝たちがいるところには影響がないが多数の黒い矢が『闇の進撃』の効果で強化された状態でレディやシュヴァルがいる方向に飛来していく。無差別の範囲攻撃のようたが、当たる筈が無いというのが全員の心境であった。魔法特化のレディたちでさえ、広範囲魔法でさえあの距離からの攻撃は至難の技なのだ。


 その油断、慢心のようなものが命取りとなる。そもそも前提として、クラン連合の面々は雫との戦闘を行う上で、雫が唯一誇っている能力を忘れている。それは規格外のアイテムを製造する能力でもそれを使いこなす発想力でもなく、まるでホーミング機能でも搭載しているのかと錯覚する、正確無比な命中能力である。



「レディさん。大丈夫ですか。」



 直撃した。しかも倒された。その証拠にレディからの応答が来ない。レディやシュヴァルは直接戦闘を行わないため、闇系統の魔法耐性を疎かにしていたことがここに来て裏目に出てしまった。



「なんで。なんであの距離で当てられるの。というか、なんでレディさんたちの位置が分かったの。いくら当てられる手段があっても位置がわからなくちゃ当てられない筈だよ。」

「私の攻撃は防がれたことはあるですけど、避けられた記憶はねぇーです。位置はシロが教えてくれたです。」




 シロ。それは知らない名であった。と言うことは、もう1人仲間がいるということになる。それは小枝だけでなく、アックスたちも動揺を見せる。


 そこからは酷い有り様であった。魔法による遠距離攻撃で耐久が低いメンバーが次々に倒される。その被害は鉄ちゃんと戦闘中のベルたちにもおよんだ。只でさえ6対1で拮抗した勝負が、数を減らされたことで一気に劣勢に変わる。しかも影移動を駆使して逃げる雫相手に捕まえることも難しい。大勢は決したように見えた。



 それでも諦めずにこの中でも一番の耐久を誇るアックスのパーティーメンバーの重戦士のゴウ


 が特攻を仕掛ける。闇系統の魔法耐性も万全の彼ならば雫の魔法で倒されないだろう。




「『影槍』です。」

「そんな物は私には…」

「『シャドースワップ』です。」

「えっ、まず」


 ドッカーンと爆音が響く。『シャドースワップ』は影と物や人を交換する魔法であり、本来は魔法で影をフィールドに撒いておき、この魔法でショートテレポート紛いなことをするのに使う魔法だが、雫は影魔法の攻撃とボムを交換し、重戦士を爆破する。


 後衛は全滅し、タンクも倒れ、相手は全員健在で確認できていない伏兵もいる。指揮官の不在もあり、冷静さを失った小枝は自身の必勝パターンである、『カスタム』による速度最大での接近からの攻撃最大による一撃必殺を狙い特攻を仕掛ける。しかし冷静に考えればそれこそ悪手。未だに移動阻害は解けておらず、速度を最大にしたところで、その上昇した速度の分、移動阻害が重くのし掛かるのだから。


 いつもの3分の2程度の最高速度で接近した小枝は雫に肉薄し、攻撃を仕掛けた。焦っていることに気づかない小枝は打倒を確信する。しかし通常時ならばいざ知らず、この状態でフェイントも無しで当てられるほど甘くはなかった。



「残念です。『常闇』」


 小枝は雫の創り出した暗闇の空間に引きずり込まれるのだった。



 小枝は前が全く見えない空間に放り込まれた。それが雫の攻撃であると瞬時に理解した小枝は耐久にステータスを移動させる。しかしそれは意味をなさなかった。小枝は突然、押し潰されそうな圧力を感じた。その力は耐久に全てを注いだ今の状態でも耐えられそうになかった。



雫視点に戻してあと一話後片付けとかもろもろやって終わりです。

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