錬金術師です
門番の二人を倒した雫は翌日亜人の街を探索することにした。鉄ちゃんをもう1回召喚してしまっているため、雫達二人でフィールドに出るのが危ないと言うことが理由にあった。
「なんかもふもふしてる人ばっかじゃないです。」
毛があるモンスターばかりではないので、仕方がないのだが雫は残念そうだ。
「しょうがないです。じゃあいくですよ。わんこ。」
「わんわん」
雫はこの街に来た目的であるわんこの秘密を探るため、まず教会に行くことにした。
「おーここが教会ですか、前のと違って今度は月ですか。」
この陰神を信仰している教会では月が掲げてある。雫は教会の中にはいっていった。
「邪魔するです。誰かいるです?」
「ええいますよ。何かご用ですか?おや珍しいですね、人族の方がこちらにいらっしゃることはまずないことなのですが。おやその狼…まっまさか。」
中から神父人物が出てきて、神父はわんこを見るなり驚き固まる。神父が再起動したのは少したってからであった。
「御使い様ではございませんか。あなた様お名前は」
神父は名をたずねる。
「私はシズです。こっちがわんこです。」
「シズ様にわんこ様ですな。まさか御使い様に会う日が来ようとは。しかもシズ様に大変なついてるご様子で。」
「わんこってそんなに珍しいです?」
「それはもう、というよりも普通は御使い様のような特異種の方々は人前に表れることはめったにあることではないのです。御使い様とどこで出会ったのですか。」
「この街を出て真っ直ぐ行ったところの草原に倒れていたです。」
「そうですか。」
「そうです。そういえばわんこのことをいろいろと聞きたいと思ってここに来たです。なんか知ってることないです?」
「御使い様のことは伝承のこと程度しかわかりませんがそれでもよろしいでしょうか。」
「いいです。教えてくれです。」
「では、御使い様は我々に陰神の御言葉を届けていただける存在。月の力が満ちるとき、御使い様の姿が変わり我々を陰神の御言葉により導いてくれる存在とあります。」
「わんこ変身するです?」
「わかりかねます。姿が変わった様子は伝えられておりません。ただ姿を変えることができるにはわんこ様のような小さい体では、」
「わんここれで小さいですか。ということはもっとわんこがでかくなるです?」
「伝承では少なくとも人間よりは大きかったと伝えられております。」
「そうですか。他にはあるです?」
「大変申し訳ございません。これ以上のことは…」
「いやいいです。ありがとうです。」
聞くことは聞けた雫は、教会を出る。
「さてどうするです。予定よりもずいぶん余ったです。なんか他には面白そうなものないです。」
雫はあらかた亜人の街を散策し尽くした。というかあまり亜人の街には観光できる場所が乏しかったのだ。
「うーんいっぱい人はいるです。でも遊べそうな所が少ないです。」
雫が唸っていると、いきなり後ろから声をかけられた。
「あの、シズさんでしたよね。こんばんは。」
「だれです。」
「僕はリクといいます。はじめまして。すいませんいきなり声をかけてしまって。僕人族に会うの初めてでして。」
「別にいいです。それよりなんで私の名を知ってるです。」
「えっとお姉ちゃんに教えてもらって。シズさんはお姉ちゃんを倒したんですよね。」
「お姉ちゃん?もしかしてセンさんの弟さんです。」
セン、雫が倒した門番の片割れである。
「はいそうです。亜人の街でもトップクラスの使い手のお姉ちゃんを倒した人族の方にいろいろとお話を伺いたくて。」
「いいですよ。まああまり話せるようなこともないですけど。」
「少し質問するだけなので。じゃあまず始めに職業ってなんですか。お姉ちゃんを倒したってことは魔法職か、もしくは凄腕の格闘家ですか?」
「違うです。錬金術師です。」
「えっ?」
「錬金術師です。」




