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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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8人組の活躍

プレイヤーたちが心待ちにしていた日曜日がやって来た。各プレイヤーはいつものように開会式が始まるのをイベントの特設フィールドで、膨大な数のプレイヤーがいまかいまかと待っていた。その中には、VVOの中でも名の知れたプレイヤーたちもちらほらと確認できた。

そんな高揚する雰囲気の中、かなり上質な装備を身に纏った少々強面な青年が寡黙な姿勢で、ただ静観している様子は、異彩を放ち周囲の注目を集めていた。

またそれは、彼の存在をプレイヤーたちが全く知らなかったからでもあった。装備品から纏っている雰囲気まで彼を強者だと物語っていた。しかも見たこともない種族。これだけ見立つ要素が多いのに彼を知るものがいないのだった。もしここに主人である少女か狼がいたら、もし彼が本来の姿でいたならば彼の正体に気付くものは多かっただろう。彼の存在を知っているのは、主人と交流がある少数のプレイヤーだけであった。


「開会式とか面倒ですからわんこたちと影の中にいるです。一応鉄ちゃんだけでも開会式に出といてくれです。」

「………」


ーーーーーーーー


「お待たせしました。プレイヤーの皆さん。そしてイベントに参加していただきありがとうございます。今回のイベントは、純粋なバトルロイヤルとなっています。チームの全員が倒されないように注意してくださいね。あと、今回のフィールドには通常モンスターは配置されておりません。ただし複数用意した各エリアに一匹ずつ、お邪魔キャラとしてエリアボスを配置しております。倒すとレアアイテムが手に入りますが、ポイントは入りませんので上位を目指す方たちはどうぞ逃げてくださいね。」


司会の人がそう言うと会場ではブーイングが巻き起こる。


「あれ逃げれるように設定されてないだろ。見つかると何処までも追いかけてくるんだぞ。」

「てかイベントのボスは強すぎなんだよ。しかも今回は6匹だぞ。」


そんな声、歯牙にもかけず司会は続ける。


「そんな弱気でどうするのですか。立ちはだかる敵はモンスターでもプレイヤーでも関係なく、叩きのめして下さいね。それではバトルロイヤル、スタートです。」


その言葉とほぼ同時にプレイヤーたちがイベント専用のフィールドに転移されるのだった。



わんこの魔法で鉄ちゃんの影の中で寛いでいた雫は、イベント開始の転移で影から放り出された。転びそうになりながらも同じく放り出されたわんこに支えられながら、辺りを見渡すと周辺が木で覆われていた。森のフィールドなのだろう。


「おっと。危ないですね、転ぶかと思ったです。っとやっと始まったですか。よーし頑張ろーです皆。」

「わんわん」

「………」

「ぉ~ぅ~~」

「コーン」

「あれ?鉄ちゃん。小鉄たちはどうしたですか。ああ、もう行っちゃったんですか。別にいいですけど。」


出来れば最初の掛け声は皆でやりたかった雫は少し不満そうだった。しかし雫もわんこたちと決めた作戦に不満があるわけではない。雫はあまり上位入賞に興味がなく、楽しそうなこと優先だがわんこたちは出来れば雫に優勝して欲しい。

今回のルールでは雫の鈍足はポイントを稼ぐには不利なため、雫を守護するわんこたちとポイントを稼ぐ小鉄たちに役割分担をしたのだ。


「大丈夫ですか心配です。怪我とかしてないといいですけど。」


ーーーーーーーー


ある場所では、森のフィールドの筈なのに周りが炎で覆われていた。炎に囲まれてしまった男は焦りながら、対処法を考えていた。


「ふざけんな。誰だよ森フィールドで火魔法使ってんの。こんなことやったら自分にもダメージ来るだろ。にしても暑い。なあ。」


隣のチームメイトに声を掛けるも返事が無く、不審に思い振り返るとあり得ない光景に男は固まる。


「え、あな、何で、氷?」


炎で囲まれた空間にそぐわない氷が男のチームメイトの行動を封じていた。見ると完全に凍らされている訳ではないようで口をパクパクと動かしているが声がでない状態のようだ。

男は仲間を助けるため駆け寄ろうとするが、男は間に合わず仲間には巨大な火の玉が襲い掛かることとなった。男は火の玉の飛んできた方向を見る。男がこのイベントで最後に見た光景は一対の小さな竜たちの獲物を狙う目であった。



またある場所では、金属製の武器や防具が空中を飛び回っていた。


「一体どうなってるんだ。何で自分の武器に攻撃されなきゃならん。」

「しるか。それよりしっかり踏ん張れよ。お前だんだん引っ張られてるぞ。」

「くそ、避けることもまま、ぐへっ」

「大丈夫か?武器や振り返る防具だけじゃなくて金色のものすごく硬い物体も飛来してくるぞ。」


ダメージはそれほどでもないが一方的にやられている今の状態は、精神的にクルものがある。




ある場所では、前衛と後衛の役割分担をしっかりとしたパーティーが2頭の竜に翻弄されていた。


「くそ、コイツ物理攻撃が効かない。スライムみたいだ。おい早く魔法を、」

「馬鹿野郎、もう1体は魔法が効かないっていうか反射してきやがる。逆効果だ。」

「じゃあどうするんだよ。」

「知らねぇよ。」


一方は流体的で物理攻撃を意に介さず、魔法を撃たれてももう一方が魔法を反射する。下手に連携に自信があるパーティーなためか、それを崩せずど壺にはまって抜け出せそうにない。




ある場所では、明らかに危険な色の気体が森の中を漂っていた。森の植物が徐々に枯れ始め、近くにいたプレイヤーたちもこの気体を見た瞬間一目散に逃げ出した。その気体の中心地にはかなり体調の悪そうな竜と対照的になんだか元気いっぱいの竜がのんびり移動していた。ただ竜たちの周りにはあの気体は無く、却って空気が澄んでいるようであった。元気な竜が纏っている光で空気が浄化されているようにも見えるのだった。




すい

液体金属『霊亀の涙』を食べて進化した。物理攻撃無効とするが魔法耐性皆無。体を竜の形に維持するのが大変なのが悩み。切り替え上手な臨機応変、女の子


ミリー

ミスリル銀を食べて進化した。スキル『魔法反射』を持ち魔法にめっぽう強く、物理耐性も兼ね備えるオールラウンダー。だがミスリル銀の特性上、体重はかなり軽く物理攻撃を受けると吹っ飛ばされてしまうため前に出たがらない。引きこもり気質な打たれ弱い男の子


どっくん

猛毒が含まれる鉱石を間違えて大量に食べて進化した。移動と共に毒を撒き散らす。しかし毒の耐性が自身の出す毒より弱く、ダメージこそ受けないが常に体調が悪い。凄く暗くネガティブな男の子




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