置いてきぼりは辛い
『妖精の楽園』の奥に沢山の妖精に連れられてアンフェとシロは進んでいった。先ほどまでアンフェたちが居た場所にもなかなかの強者を見掛けたが、進めば進むほどより高位の妖精の姿が見えた。
そして妖精の案内で連れてかれたのは豪華な部屋であった。そこには先ほど目にした妖精よりも高位であることが分かるモノたちが立っていた。
妖精は他のモンスターよりも多くの進化先が設定されている種族です。一度めの進化で属性を持つ妖精となり、その後の進化はその属性に関係のあるモノに進化します。それを踏まえてみると明らかに2度かそれ以上の進化を果たした妖精が三人、そして更に奥にはこの中で一番のオーラを感じたアンフェは身構える。すると、
「そう警戒しないでおくれ。一度このフィールドを離れて帰ってくる者で、契約解除をしていない者は珍しくてな。自己紹介をしよう。私は妖精王のカイリーだ。」
「~ぁ~~ぇ~ぇ?」
「そうか。アンフェか。よく来てくれた。そしてお主の疑問に答えよう。ここにいる者の多くは一度、契約を行いそれを解除してきた者たちなのだ。」
妖精王の話を簡単にまとめると、ここにいる妖精は表の広場にいる妖精よりも強いものが多い。中には進化するものもいる。妖精が強くなると契約者は、妖精をモンスター狩りの道具のように扱うものが増えてくると言う。最終的にその扱いに耐えかねてここに戻ってくるものたちの集団なのだそうだ。
「しかし未だ契約中とは言え、お主もここに来たということは契約者のお主に対する対応に不満があるのではないか?」
「~ぉ~ぁ~ぉ!」
「なに、そうか。お主は契約者を信頼しているのか。そうかそうか。」
「ぐす、大丈夫ですか、妖精王様。」
涙ぐむ妖精王を横に支える従者が心配するが、従者も涙ぐむ。周りの妖精たちも目に涙を浮かべていた。
「お主は見たところ特殊な進化の仕方をしておる。ということは特殊な扱いを受けている筈じゃ。それでも契約者を信頼しているのか。」
「~ぉ~ぅ」
「そんな関係も存在し得るのじゃな。ありがとう。妖精と契約者の新たな関係性を見た思いじゃ。お主に褒美を取らせよう。ここにアレを。」
妖精王はアンフェに褒美を手渡した。それは『フェアリードレス』と呼ばれる装備であった。
「ぁ~ぃ~ぁ」
「礼など要らぬ。これは私たちからの感謝の気持ちなのだからの。」
妖精王がそう言うと周りの妖精たちからわっと大きな歓声が上がるのだった。
そんな中、アンフェや妖精たちに忘れ去られながらも、空気を読みその雰囲気を壊さないようにじっとしていたのだが、どうみても場違いでかなり居心地が悪そうだったシロが
「…コーォン。」
とため息を吐くのだった。
そんな悲しい体験をシロが経験している最中に運営サイドからプレイヤーたちが待っていたイベントの告知が発表された。
イベントの内容は、1~6人のプレイヤーでチームを組んで行うバトルロイヤル。倒したプレイヤー一人につき1Pでそのチームの最後の一人を倒すとボーナスで3P加算される。1度HPがゼロになったプレイヤーの復活はなく、チーム全員がリタイアしたチームは脱落。脱落したチームはどんなにPを獲得してようがその時点で0になる。
という今までのイベントに比べればシンプルなルールであった。プレイヤーたちは、このイベントに適したメンバーをチームに入れるべくこの日から奮闘することとなる




