情報と談笑
雫は次の街へ行けなかったのには落胆したが、こんな時を利用して未だに行ったことのない場所をピックアップしていた。このゲーム、VVOでは新規プレイヤーが続々と増えてきているのに伴ってどんどんバージョンアップが成されており、雫が通りすぎていった頃とは比べられないほど全体フィールドは広大になっていた。
雫は収集した情報を整理するためすっかりと縄張りのようになってしまった孤児院に来ていた。
「腐海に霧の街、幻想都市ですか。いまいちピンと来ないですけど行ったことどころか聞いたことも無いです。この第4の街も聖樹があった街以外にも色々と増えてるっぽいですね。」
「増えたというのは少し解りませんがこの街から行ける場所は、隣接した街を除いたら迷いの森や森精の街、死の樹海などそれなりに数がありますからね。まあ私たちが行けるとしたら迷いの森くらいでしょう。そこも入ったら死ぬまで迷い続けるだとか森の民が襲い襲い掛かってくるとか噂がありますからね。」
「危ないですね。って何ですかアンフェ。髪を引っ張るなです。」
迷いの森にはビビりで人見知りのドライアドがいるだけと言うことを、知っているはずの雫なのだが迷いの森のことはすっかり忘れてしまっており友達を忘れられていて怒ったアンフェだった。
そんな時、聖樹の化身であるせーくんがにょきっと現れ語り出した。
「そう言えば王都で大規模な徴兵が行われているという話を耳にしたよ。確か水不足が危機的状態まで悪化した原因が判明したからそこに攻撃を仕掛けるらしいよ。君もこの前ギルドカードを手にしたらしいじゃないか。それがあれば徴兵の依頼を受けられるみたいだよ。」
よくわからないが冒険ギルドで特別な依頼が受けられるそうだ。それを聞いた雫は胸を張って答える。
「ギルドカードが手に入っても私がギルドに入りたくないのは変わんねぇーです。えっへんです。」
「いやいや。そんな情けないことで威張られても困るけど。ってシズくんの妖精、かなり格が上がったね。そばにいると聖の波動が心地いいよ。」
「ぃ~~ゃ♪」
「離れてほしいみたいです。離れろです。」
王都で大規模な徴兵という割りと重要な案件であったがすぐに話から消えてしまうのだった。
「まあ色々楽しそうですけどまずは最初の街に行こうかなです。」
そう決意した雫は第1の街に行くのだった。しかし、今まで雫は一人でどんどん攻略を進めていたりプレイヤーがあまり寄り付かないような場所を探索してばかりいたため自覚が薄いが、雫はこのゲーム内ではそれなりに有名であった。
更に言えば雫の活躍を知らない初心者、新規プレイヤーであったとしても人化している鉄ちゃんは置いておいても、わんこやシロ、進化したアンフェはあまりにも目立つ。それを雫は理解できていないのであった。




