リベンジのために
わんこの機転により全滅の危機を逃れた雫たちは第9の街の人通りが少ない路地裏で休息をとっていた。
しかし何とか逃げ切れたと言ってもこのゲームを始めてから今まで遭遇した敵で倒しきれずに撤退を強いられたのは初めてのことだったためみんなの雰囲気はどんよりとしているかに思われたが、そんな事はなく逆に大盛り上がりであった。
「すごかったですあの攻撃。鉄ちゃんの身体を貫通してたです。やっぱりボスって言うくらいですからあのくらいじゃねーとです。」
「………………」
「やっぱり鉄ちゃんもそう思うですか?
相手にとって不足なしって感じがするです。最初の頃を思い出すです。わんこと二人っきりでやってた頃は大体あんな感じでわんこが一定ダメージ食らって、私にも攻撃が飛んできて何とか倒してたですからね。」
「わんわん」
「懐かしいです。」
雫たち自慢の鉄ちゃんの防御を破った敵の攻撃を見てまだ雫が全く攻撃手段を持っておらず、足手まといとなっていた頃を思いだし懐かしんで微笑みあう雫とわんこ。
それを羨ましく思ったのか雫の頬っぺたを引っ張ってアピールし出すアンフェ。
「~♪~♪」
そんな感じで場が和んだところで雫は話題を第9のフィールドのボスである聖神ラフィエルの攻略へと切り替える。
「やっぱり鉄ちゃんの防御でも防ぎきれない攻撃はやべーですけど、最初の攻撃はダメージを負わなかったことを考えれば全ての攻撃が鉄ちゃんに効果があるわけじゃないはずです。」
「わんわん」
「コーンコーン」
雫の考察にわんことシロが相づちを入れる。
「だからもしあの攻撃が来たらできるだけ避け
るです。私はできないですけど。それはわんこに任せるです。それとダメージを受けたら即座に回復をするです。これはアンフェと私がやるです。まあ、あとはお前らに任すですからおもいっきり頼むです。」
かなり他力本願な気がするがこれが雫の持ち味と言えばそうである。自分の仲間の実力を信じて任せる能力を雫は持っているのだった。
鉄ちゃんが「霊亀の首飾り」を手にいれてからわんこの影を使った攻撃回避は使わなくなっていた。しかし今回のように鉄ちゃんでも防ぎきれない攻撃を持っているのならばわんこの方が対応としてはベストである。折角手札があっても使わなければ意味がないと身をもって学んだ雫たちであった。
そういった意味でも今回のボス、聖神ラフィエルはいい敵であると言えた。そんなこんなで雫はリベンジをしにラフィエルのもとへ向かおうとするのだったが。
「っとそういえばもう寝る時間でした。ボス戦はまた明日ですね。おやすみなさいです。」
そう言って雫はログアウトするのだった。




