ハロウィーン仕様
クラン対抗戦のイベントも終了し少したった今日この頃、街の様子も所どころハロウィーンを意識した飾りつけへと変化していた。中でも元々の風貌がハロウィーンらしかった第8の街何かは特に本格的に仕上げていた。
そんなためか、街中にも攻撃はしてこないがモンスター扱いのカボチャのお化けである、ジャックオーランタンが名前についているランタン片手にプカプカ浮いていたり、NPCの子供が突然「Trick or Treat」と話し掛けてきてアイテム欄にお菓子類が無い場合、ランダムに一定値のデバフをかけてくるだったりと、中々色々なイベントが用意されているのだった。
その中でも少し前に導入されたダンジョン街に、ハロウィーン用の期間限定ダンジョンが用意されたのであった。このダンジョンに出てくるモンスターは第8のフィールドに出てくるような少し暗めのモンスターたちだけでなく、ポップで楽しい感じのフィールドとなっており、ここでしかでないモンスターたちも用意されていおり、かなり人気を博しているのだった。
更にこの期間限定ハロウィーンダンジョンの導入と同時にこのダンジョン街に新たに追加されたシステムが「ダンジョンメーカー」。自分で自分オリジナルのダンジョンを製作して他のプレイヤーに遊んでもらうというものであった。遊んでもらったプレイヤーの人数や撃退数などに応じてボーナスが加算されていき、どんどんダンジョンを強化できるという仕様である。
今はまだこのシステムの導入から日が経っていないこともあり、プレイヤー産のダンジョンは弱く、プレイヤーで賑わっているとは言い難いがすぐに運営サイドではゲームバランス上作れないような高難易度のダンジョンや特徴あるダンジョンがどんどん作られるのではと期待されているのだった。
とは言っても今回の特にハロウィーンイベントはプレイヤー側に何か恩恵があるようなイベントと言うよりもそういった雰囲気を楽しむためのイベントであるためそれに馴染めない者は、あまり気にせず黙々と自分のしたいことをしているのだった。
雫もその一人であった。ダンジョン作りには多少の興味はあったが、雫自慢の爆弾や、わんこたちをダンジョンに反映できないと知るや否や
途端に興味を失ってしまうのだった。そのため現在は第9のフィールドの攻略を進めていた。とはいえ残念なことにそうトントン拍子に攻略は進まず、途中でアイテムが切れてしまうことも多く毎日毎日フィールドに出てばかりもいられないのが現状であった。
そんな今日は、フィールドには行かず街中で売っているお化けを型どったお菓子を土産に孤児院にやって来ていた雫たち。雫たちを見つけた子供たちは、何時もはしていないような仮装を身に付けた状態で、一目散に駆け寄ってきては慣れない口調で「Trick or Treat」を言おうと頑張ったのか
「とりっく、わーとりーと」
なんて言いながら群がってくるのだった。現実の時間ではまだハロウィーンには早いが雫も気にせず、
「ふふ、わかってるです。でもまあ順番です。みんなしっかり1列に並べです。そうしたらちゃんと渡してやるです。」
と言うのだった。
雫がだいたい全員に渡し終えたという所で魔女がするような黒い三角帽を被ったヤツが近づいて来る。
「やあやあシズくん。もちろん僕にもお菓子はあるんだろうね。この聖樹の化身である…「せーくん早く遊ぼ」っと少し待っててくれないか。お菓子を貰ったらすぐいくから。」
カッコつけて登場した聖樹の化身せーくんもかなりこの孤児院に慣れてきたらしい。その証拠にせーくんの回りには子供たちが、足元にはキノコたちが取り囲んでいるのだった。
「まあ慣れてきたことは否定しないけど、この謎の生命体にすかれてもね…まあいいけど。」
そうため息を吐くせーくんであった。今日も雫の回りは平和なのだった。




