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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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洞窟のボスは遅い

聖樹の化身が無事に顕現することができた孤児院ではいまだに光を放ち続ける聖樹の回りで子どもたちが遊んでいた。

「いやー、色々とびっくりすることは多かったけどまあなんにせよこうしてエルフたちが存在していない場所に顕現することができたということは喜ばしいね。ふふ、ありがとうね。」

「あーそれは良かったですね。まあ別にいいですよ、加護をもらったですし。」

このように二人が会話をしていると光っている聖樹に飽きた子どもたちが二人を呼びに来る。

「シズ姉さん遊ぼーよ。それとせーくんも。アンフェちゃんはまだくるくる回ってるし、今日は鬼ごっこをしようよ。」

孤児院の子どもたちの間で聖樹の化身はせーくんと言う呼び名になったようだ。

「ふふ、しょうがないね。鬼ごっことやらが何かは知らないけど聖樹の化身たる僕が完璧にこなしてみせよう。」

ヤル気満々の聖樹の化身ことせーくん。

「あっ、ちょっと待ってくれです。確認したいことができたです。すぐ行くですから先にやってろです。」

そう言って雫はメニューを操作し出す。そして持ち物の欄を見る。雫が見ているのは鉄ちゃんの欄であった。

「ああ、やっぱりです。こっちは鉄ちゃんですね。見たことないアイテムとか素材とかばっかりです。どんどん増えてくです。あいつ何やってるです。」

どんどんと増えていく謎の素材から鉄ちゃんが今何らかの活動をしていることに気がついた雫であった。


雫が鉄ちゃんたちの活動に気がついた頃、鉄ちゃんたちは呆然と立ち尽くしていた。先程までは敵モンスターを狩り尽くす勢いで倒していっていたが、突如として目の前に巨大なモンスターが出現したのだ。

そのモンスターは、この洞窟に出現する金属でできた甲羅を背負った亀にフォルムは類似していた。しかし亀自体の大きさが比べ物にならないほど違い、背負っている甲羅も見るからに強固そうであった。このモンスターの個体名は「霊亀」正真正銘、この洞窟のボスモンスターであった。

この霊亀を前にして鉄ちゃんは臆することなく戦闘体制に移る。

「………………」

「キャッキャッ」

まず手始めに小鉄たちの1体が鉄ちゃんの指示を受け先制攻撃を仕掛ける。小手調べではあるが指示を受けた小鉄は全力で小鉄砲を放ち霊亀に直撃するが霊亀には傷一つ負わせられない。しかしそれは想定の範囲内のため鉄ちゃんは気にしない。それよりも攻撃を開始したため霊亀からの反撃を警戒し、霊亀の行動を警戒する鉄ちゃんであるが霊亀に動きはない。というよりもダメージが無さすぎて攻撃されたことに気付いて無さそうであった。

「…………………」

さすがにこれは想定外だった鉄ちゃん。そしてプライドを傷つけられた小鉄。それを見ていた他の小鉄たちは、先程小鉄砲を放った個体の回り集まり慰め出す。

「キュウ、キュウ」

「ガブガブ」

「グワゥグワゥ」

それを見た鉄ちゃんが今度は小鉄たち全員で一斉放射を命じる。小鉄たち全員の力を合わせた小鉄砲は、霊亀にダメージこそ負わせられなかったが今度はさすがの霊亀もこちらに意識を向ける。

そして霊亀はすかさず鉄ちゃんたちに突進してくる。霊亀の巨体を生かした突進は、当たれば無事ではすまないだろうこと予測できた。しかし霊亀の突進は鉄ちゃんたちに当たることはなく、洞窟の壁に激突し大いに洞窟を揺らすこととなった。

この霊亀はこのフィールドに出現する亀型のモンスターの特徴を全てグレードアップさせた存在である。強靭な身体に強固な甲羅。それらを駆使した突進の攻撃力は通常モンスターではどうやっても出せない破壊力を持っていた。しかしもともとこのフィールドに出現するモンスターはスピードに欠けている。そしてその特徴もこの霊亀は持っており、さらにこの特徴は通常モンスターよりもグレードアップしていた。そのためこの霊亀はとてつもない攻撃力と防御力を持つ鈍足というモンスターであることがわかる。

「………………」

これらを踏まえて鉄ちゃんはそっと溜め息を吐く。ダメージを負わせられないが相手の攻撃も当たらない。完全に長期戦になるであろうことが鉄ちゃんには容易に予測できるのだった。

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