アンフェと二人
突如としてアンフェと二人っきりになってしまった雫は、最初は慌てていたが少し考えてある方法を使うことを思い付く。
「よく考えたら1回、召喚を解除してもう1回呼び出せばいいです。慌てていて気づかなかったです。」
思い付いたからには即実行と雫はわんこたちの召喚を解除しようと試みるが、上手くいかない。そのため雫は何度か繰り返すが結局呼び戻すことが出来なかった。
「おかしいです。上手く言えないですけど私の方からわんこたちに干渉できないような感じです。なんかもやもやするです。」
残念ながらわんこたちとの合流は一筋縄ではいかないようなので、仕方なく雫は進んでみることにしたのだった。
「うーんと、いつもみたいに守ってくれるのがいないですから『荊森』です。あと銃も射てるようにしとくです。はぁー何でこんなときにボムが使えんのです。まあいいです。それじゃあ行くですアンフェ。頼りにしてるです。」
「~♪~~♪」
と言う訳で雫とアンフェは、二人で遺跡の奥へと進んでいくのであった。
一方、取り残されたわんこ、鉄ちゃん、シロの三人はすぐに幾何学的な模様に近付くがその模様の効果は切れてしまっているようで、残念ながら転移することが出来なかったため、こことは別のルートに向かうことにした。
雫はわんこたちから見ると別に頭が悪いという訳ではなく、逆に機転を利かせられる時があるほどの頭はあるのだが、致命的にぬけているところがあるため、それを補うためのサポート役がいないと心配なのであった。
雫を守る必要がなくなったわんこたちは、ただ進むことに専念しているため出現してくるモンスターたちが可哀想になるほど出現してくると同時に倒していくのであった。
遺跡内のモンスターをわんこたちが、凄まじい勢いで倒していっている時、雫たちも奮闘していた。
「クモみたいなやつ、トカゲみたいなやつ、ヘビみたいなやつ、なんか気味悪いですね。えーと何て言ったですっけこれ?シューティングゲームでしたっけ?なんかそれをやってる気分になるです。っと今度はコウモリです。」
雫は慌ただしく銃を使って次々に出てくる比較的に小さいモンスターたちを射っていくのであった。
不意打ちで攻撃してくるモンスターや銃弾を食らってもなお向かってくるモンスターも存在したが、それらのモンスターはもれなく荊によって倒されていった。
「なんかここに出てくるモンスターってごつごつしてたり、怖い顔してたりとかそんなんばっかです。もっと可愛い感じのやついないんですか?ねっアンフェ。」
「~♪~♪」
雫は久々に自分がメインで戦闘をこなした精神的疲労からか不満を言い出した。フィールドに癒しを求めだしたのだった。
そんな雫の願いに応えるかのようにモンスターが登場する。この古代遺跡の入り口を守っていた獅子と同種の雰囲気、気高く凛とした佇まい。そんなモンスターが咆哮する。
「にゃーごろにゃー」
個体名「砂猫」入り口を守っていた獅子とは同じネコ科の仲間であった。まあしかしサイズは多少ミニではあるが。
「かわいいです。こういうのを待ってたです。ってあれ?」
雫は喜びながら銃口を猫に向けるがさすがは砂猫、砂を生み出して隠れてしまう。
「まあ隠れたままでいいです。適当に射ってればいつかは当たるもんです。」
と言い、雫は銃を乱射し始めた。砂猫はこれはたまらないと慌てて砂の壁を生成し無差別攻撃から身を守る。しかしそのせいで居場所がばれてしまう。
「よし見つけたです。でも銃は防がれちゃいそうです。うーんよしあれ使うです。」
と言い、取り出したのは赤く色がついた十数本の短剣であった。『血操作』を使い自在に短剣を操れる雫の短剣術を駆使して砂猫にナイフを飛来させる。しかし銃の時と同じく砂の壁により全て防がれてしまう。
「にゃーごろにゃー」
猫は得意気に雫を見ている。しかし雫も猫を得意気に見るのだった。
「私の短剣はここからが面白いです。」
地に落ちたはずの雫の短剣。それらが再び浮かび上がり猫目掛けて飛んでいく。
「にゃにゃっ!」
慌てて砂の壁を作ろうとしたが遅く、短剣が突き刺さっていく。なんとか全ての短剣を食らうのは避けられたがそれが大きな隙となってしまい、雫に狙い撃ちされてしまう。
「ふぅ。よし先に進むです。次のモンスターもこういったかわいいのがいいですね。」
雫たちも自身のスキルや道具を駆使しながら進んでいくのだった。




