表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
130/398

砂漠の獅子

まず手始めに砂漠の獅子は、砂嵐を起こす。そこら辺のモンスターが起こす砂嵐と異なり、目眩ましとしてだけではなく少しずつ砂嵐の中にいる者たちの体力を削っていくという特徴があった。

ここまで来ることが出来る前衛職のプレイヤーであれば、気にする程のダメージではないのだが後衛職にとっては馬鹿にならないダメージであった。特に雫の雀の涙程の体力では、数分ともたない。そのため雫はわんこの影の中に常時入っていることを強いられるのであった。

「うー。私は力になれないですけど頑張ってです。」

「わんわん」

そのためわんこに常時、制限が課せられている状態となっており、普通のモンスター相手ならば大した問題ではないが、ボスクラスのモンスターを相手取るには、少し荷が重いのであった。

「ガオーーー。」

砂嵐による目眩ましを展開しながら砂の中に入り込む獅子。獅子が扱う能力の系統は影魔法に似ているため、戦闘方法も似通っており砂中からの奇襲、砂を操って攻撃してくるのだ。影ほど汎用性に優れてはいないが、フィールドが獅子の味方をしており制限が課せられているとはいえ、わんこたちと互角に渡り合っていた。


そうやって地上でわんこ、鉄ちゃん、シロが獅子と激闘を繰り広げている中、影中に入った雫とアンフェは、やることも無いため談笑していた。

「それにしてもあのライオン、本当に強いですね。私久し振りにダメージ食らったかもです。」

「~♪~~♪」

「あっアンフェもですか?まあそうですよね。やっぱりあんな攻撃方法も面白いかも知れないです。爆風の中に鉄みたいに硬い物を混ぜて相手にぶつけるなんていいかもです。まあ作り方わかんねぇーですけど。」

地上での戦闘から隔離された雫とアンフェがいるこの空間に、ほのぼのとした雰囲気が漂っているのだった。


「…………………」

鉄ちゃんは、獅子の攻撃を無視して思いっきり鉄腕を振るう。しかし獅子も砂を盾にしたり、分身を作ったりと上手く回避していた。鉄ちゃんは、小鉄たちを召喚して、遠距離からの波状攻撃を繰り出してはいるが獅子に有効打を与えるには至っていない。

「コーンコン。」

「わんわん」

シロとわんこは連携して攻撃と防御を行っていた。まだ基礎的な妖術、仙術しか使用できないが隠れている存在を見つけるのは得意となっており、不意打ちしてくる相手にカウンターで攻撃する。それに合わせてわんこは獅子を拘束しようと試みる。

しかし相手もそう易々と食らってはくれないのだった。わんこが獅子を拘束しようとするように、獅子もわんこを拘束しようと画策する。影での拘束と違い、砂を用いた拘束は動きを封じるだけでなく、拘束対象の水分をも奪う。それを警戒してしまうため攻撃を当てることが困難になってしまっているのであった。


決め手に欠けているわんこたちは、砂嵐のダメージが徐々に蓄積してきておりこのままでは状況は不味くなる一方である。そんなときわんこの影の中から、

「わんこ、今から外に出るですから私を砂嵐から守ってくれです。シロは、吹雪を起こして砂嵐を相殺してくれです。私が隙を作るですから鉄ちゃんがとどめを頼むです。」

と言い影から出てくる。するとアンフェが神聖魔法「快癒結界」を展開し、砂嵐のダメージを緩和する。そしてわんこが影により雫を物理的に守る。獅子は突然の雫の参戦を警戒して砂の中に身を隠す。それを予測していた雫は次の準備を始める。シロが吹雪を起こし、砂嵐を一時的に止ませている間を狙い雫は既存のボムにモンスターの血液を錬成した赤いボム、正式名称「ブラッドボム」を十数個取りだし、随所に配置する。

「いくですよ、一斉爆破です。」

「ドッカーーーーン」

 血操作を駆使した一斉爆破の爆風により大量の砂が巻き上がる。砂の中にいた獅子も、ダメージこそ負っていないが空中へ投げ出されてしまう。これでは格好の的であると判断し砂漠から防御と回避のために砂を調達しようと試みるが、思うようにいかない。どうやら、何故か雫が地面に手を置いている。

「まだ形を作ったりは出来ないですけど、砂が上にいかないように干渉するくらいなら出来るです。よし今です鉄ちゃん。」

『錬成の極意』により獅子に致命的な隙を作り出すことに成功した雫は、鉄ちゃんに合図を送る。すると待ってましたと小鉄たちを吸収し、鋼龍化した鉄ちゃんは、最高出力の「鋼龍砲」を繰り出す。それは的確に獅子を捉える。まだ体力は残っている獅子であったが空中で、砂を扱える状態ではないという絶望的な状況は流石に覆せないのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ