表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
129/398

迷った挙げ句

自分を呼んでいる何かを求めてフィールドに飛び出すことにした雫は、フィールドの雰囲気が愉快でなく、と言うかあんな暗いフィールドに呼ばれたくもなかったので第8のフィールドの探索と言う選択肢をまず除外した。

「私がまだ行ったことがないフィールド。そういえば鉱山に新たな下山ルートがあったって言ってたです。」

と言う思い付きから雫は、第4の街から逆走することにした。

基本的に雫たちは、メンバー構成的にわんこと鉄ちゃんが敵を殲滅するため前衛で、アンフェとシロが雫と一緒に後衛で後方支援や撃ち漏らしを倒す役目で、雫はフィールドに出ているときは大体後ろの方で採取してるか、何らかの錬成やら実験を行っている。そのため雫がパーティーの先頭に立つことは稀である。だが、雫に明確な目標がある時と、全く目的が無いときの2通りの場合のみ雫が先頭という大胆な構成となるのである。

今回の雫は、ほぼ無意識的に進んでおり、雫に襲いかかろうとするモンスターをわんこたちが、陰ながら倒していくと言う感じであった。

「えーと、この先に荒野ってところがあってそれを進んでいくと「鍛冶の街」に着くです。簡単です。」

雫は、全く分かっていないが未踏破のフィールドから新エリアを発見するのには、普通熟練の技が必要になってくる。住民の話を聞き大体の方向を把握し、モンスターの微細な出現傾向を読みながら、色々な物を手掛かりに探索していくものである。

そのような小さな積み重ねを疎かにしたプレイヤーは、

「新しい下山ルートを下りて真っ直ぐ進んでいくと荒野に…あれ、出ないです。」

迷ってしまう。ただしこれは一般のプレイヤーの場合である。これが雫だと話は変わってくる。

「これ、荒野と言うか砂漠です。荒れてるんじゃなくて荒れ果ててるです。」

迷ったあげく結局新しいフィールドに辿り着いてしまうのだ。また目的と異なっていれば、普通は引き返しそうなものなのだが、元々思い付きで鍛冶の街を目指していたこともあり、荒野と砂漠の違いを些細なものだと言うことで気にせず進んでいくのであった。


砂漠を進んでいく雫たちの目の前に、大きなサボテンが生えていた。本格的に砂漠のフィールドである。そのサボテンは、ただの植物に見せ掛けて雫たちがある一定範囲内に侵入した瞬間、回転を始め針を飛ばしだす。

「危ないです。というか凶暴すぎるサボテンです。」

とっさにわんこの影の中に避難させられたため、ダメージは無い。サボテンは針攻撃が食らわない鉄ちゃんによって引き抜かれて終了した。

「ふぅ。あっ鉄ちゃんありがとです。サボテンとはいえ、針は色々と使い道があるですからね。」

 雫は早速、サボテンから針を回収するのであった。その後もちらほらとサボテンは、生えていたため根こそぎ抜き取られることになった。

このように砂漠フィールドには、プレイヤーを倒すためのギミックが多く存在していた。蠍などの毒を持ったモンスター。砂嵐が吹き荒れたり、蟻地獄を形成し自分のテリトリーに引きずり込んできたり、砂の中をまるで海のように泳いぎ、襲いかかってくる鮫のようなモンスターまで存在した。それらが協力しながらプレイヤーに襲いかかってくるのだ。

しかし足を取られても空を飛び、不意打ちを食らわされても影への、緊急避難が存在する雫たちはことごとく仕掛けられた罠を突破していくのであった。

蟻地獄で機動力を奪い、地中に引きずり込もうとしていたモンスターの思惑を真っ向から阻止し、空から鉄龍砲で倒されたモンスターはさすがに可哀想であった。


それからかなりの距離を進んだ頃、雫は少し自慢気に話をしだす。

「わんこ。私気づいたんですけど、もしかしたらこの先に鍛冶の街は、無いかもしれないです。」

「…くぅん。」

わんこたちにとっては、今かよという感じなのだがそんな感情は雫に伝わらないように努めながら返事をする。

「まあでもこのフィールド、面白いですしこのまま進むです。」

気づいても気づかなくても結局、進む雫なのであった。

そうやってどんどん進んでいくと、雫は前方に何やら建造物らしき物を発見する。このフィールドに来てから初となる人工的な物に、雫は興味を示し、近づこうとすると今まで出てきたモンスターとは全く異質な雰囲気を漂わせたモンスターが雫たちの前に立ちはだかる。それは砂漠の砂を纏いし獅子であった。

「ライオンですか。カッコいいですし、強そうな見た目です。油断せずに行くです。」

雫の言葉を理解しているかのように獅子の目付きも変わり、臨戦態勢となるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ