鉄竜の名前
「フィールドボス 一撃熊が撃破されました。撃破したプレイヤーはアックス、以下パーティーメンバーの方々です。」
運営からの伝達があったのは雫がボス戦を終えてから少ししたらだった。
倒したのは、アックスという男。雫が初めて話したプレイヤーである。
「なんとか倒したと思ったら別のボスが倒されてるってなんだよ。てか他にボスなんかいたか?」
彼はちゃんとボスを倒したのだ。かわいそうな男である。
「その知識の守護者って一撃熊より強そうじゃないか。俺たちより強いプレイヤーなんていたのか?しかも名前も公表してないし。なんか俺たちカッコ悪いな。」
「そんなこと無いよ。アックス、大活躍だったじゃない。」
パーティーメンバーの女性が励ます。
ボスを倒した一同の帰路にはとても見えない。
そんなことは露知らず雫は、ゲームを終わる前に
『鉄竜召喚』を使おうと森に来ていた。
図書館でやろうかと思ったが。
ボスが使っていたのを見て室内でやることに躊躇してしまったのだ。
「この装備かっこいいです。わんこも似合ってるです。」
雫とわんこは新装備を身に付けていた。
わんこは小太刀とそれにひも付きのカバーを買い
装着している。
雫はローブ、などの一見魔法使いのような格好に
帽子の代わりに白い手袋をしている。
なんか頭が良さそうに見えて雫は気に入っていた。
「また今度錬成がどのくらい変わっているかはやるです。到達者の効果を試すです。」
『到達者』 スキルの成功率上昇
とだけかかれていた。大抵の戦闘職には意味の無いスキルだが、生産職や確率で発生するスキルを持つ戦闘職にはかなり有用なスキルである。
「じゃあ早速『鉄竜召喚』」
『鉄竜召喚』1日に1回鉄竜を召喚できる。
魔方陣のようなものから鉄の塊で形作られた竜が現れた。だが鉄竜はぴくりともに動かない。
「どうしたです?あっ名前をつけてなかったですね。何か名前をつけるです。」
鉄竜はモンスターではないので、命名機能はないのだか、雫にそんなことは関係なかった。
「鉄竜…鉄ちゃんでどうです」
鉄竜からの反応はなかったのだが、雫は沈黙を肯定ととった。
「これからよろしくです。鉄ちゃん。」
そうこうしていると、モンスターの群れが現れた。
すると鉄竜が突然動き出す。
わんこよりも速いかと思わせる程の
鉄竜の迫力。
モンスターの群れを蹴散らす攻撃力。雫たちに足りなかった物を鉄竜は持っていた。
「鉄ちゃんすごいです。」
「わんわん」
二人は無邪気に喜んでいた。
本当はもっと後にクリアされるはずだったクエストの報酬は凄まじいものだったのだ。
明日は諸事情で更新できないので早めに更新です。




