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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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生者と死者

雫は街の中を探しながらも第8の街の住民にも色々と話を聞いて回っていた。街は普通に広く、何も考えずにぐるぐる探し回るよりも効率的であった。そうやって話を聞きながら歩いていると、ある住民の話で手掛かりになりそうな情報を入手することに成功したのだった。と言っても街中でモンスターを目撃したというような情報ではなく、第8の街のある区域で起きた事件の情報であった。

その事件と言うのは事件の起きている区域に行ったものが次々に行方不明になっているというものであった。最初はその区域に行った小さい子どもや若い女性などが極稀に帰ってこなくなることがあるという何処にでもありそうな都市伝説のような物であったそうなのだが、ここ最近では、行方不明になった人が実際に確認されており。そしてその被害者は、子どもや女性に限らず幅広い世代の人々がその区域から帰って来ていないという。雫がこの話を聞いた女性の顔はかなり深刻そうであった。それもそうだろう。基本的に一日中暗い街であるここでさらに暗い事件が発生しているとなればそんな顔になってもおかしくはない。

その話を聞いた雫は、

「貴重な情報です。もしかしたら本当にあるかもです。」

ということで他にこれといった情報も入っていないためその区域に行ってみることにしたのであった。


その区域はこの街では裕福な層が暮らしている場所のようで周りに建っている家が他のところに比べて大きく、豪華な感じであった。

「うーん。普通に考えたらです。こういう金持ちが暮らしてそうな所は治安がいいと思うんです。と言うことはやっぱりここら辺になんかあるです。」

この行方不明者が多発している事件はかなり有力な情報であることを確信した雫は、マップを使いここら辺一帯を見渡しながら、名前が付いていたり建物内に入ることが可能な建造物を探すのだった。

そうやってマップに記載されているような建造物を順々に回っていくと他の建造物よりもさらに豪華な屋敷を前にして雫たちの足が止まる。雫が見ているマップにはこの建造物は一応入ることが可能になっているがこれの名前の欄には「屋敷」としか記載されていない。普通なら通りすぎ次の場所に行くのだが、それをわんこが止める。わんこは敵の気配を探るのに長けている。さらに言うとわんこは狼なだけあり鼻がよく効く。そのためなのか、その「屋敷」から放たれている異様な気配のようなものを察知することが出来たのだった。

そこからは生者から発せられる物とも死者から発せられる物とも違う、曖昧な匂いのような物をわんこは感じ取ったのだ。そうやってわんこが何かを察知したことをすぐに雫も気づき足を止めるのだった。

「あそこになんかあるですか。それなら行ってみるです。」

そう言って雫たちは何の変哲もない「屋敷」に足を踏み入れるのであった。


雫が「屋敷」に入った瞬間、マップに記されている「屋敷」という文字が「吸血鬼の屋敷」に変わる。これを見た雫は笑みを浮かべる。

「正解だった見たいです。でもまた鬼ですか。面倒です。」

第7のフィールドボスであったゴブリン・エンペラーの魔人であった鬼人を思いだしため息をはく。確かにあのモンスターは、厄介であった。

そんな雫の前に「吸血鬼の屋敷」の名の通り吸血鬼が現れる。とわいえ吸血鬼と大層な種族名であるが雫の前に現れたのは、その最弱個体である、レッサーヴァンプァイア。その名についたレッサーの字のごとく劣等な吸血鬼であった。その性能は通常の人族よりも多少のステータス面での向上と犬歯が生えており血を吸うことができる点と傷の治りが通常よりも早い程度であった。そのモンスターならではの攻撃というものはほとんど無いため雫たちにとって脅威となり得ない存在なのだが、このモンスターが出現したお陰でこの「吸血鬼の屋敷」は街中でありながらモンスターが出現する場所であることが証明されたのであった。

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