シロの苦悩
鬼人とライムを倒した雫は次の街に到着した。そして街の中を見ていて少し違和感を感じた。
「あれ?さっきまで明るかったですけどなんかいきなり暗くなったです。」
基本的にこのゲームは、現実の時間にリンクしているため日の出や日の入りも現実の時間に設定されているので今はまだ明るい時間帯のはずなのに、この街に入ったとたんに夜みたいに真っ暗になってしまったのだ。
こんな場所なためかこの第8の街の周辺のフィールドに出現するモンスターのほとんどがゴーストやアンデットと言った生物ではないものばかりが出現するのだった。
「まあでもです。いきなり暗くなるのはビックリですけど、これはこれで面白いです。」
最初は驚いた雫であったがすぐに順応してしまうのだった。
ここら辺に出現するモンスターの関係で聖職者や除霊師などの職業の人たちがこの街には多く存在していた。そういった人たちはまだ大丈夫なのだが、中には陰陽師の職業についている人もいて、シロはそういった人が怖く雫に引っ付いて離れないのだった。シロいわく陰陽師の放つ独特の気配が怖いのだという。
「まあ苦手なものは誰にでもあるですし、しょうがないです。私はもふもふ大歓迎ですし。」
雫はいい機会なのでシロのもふもふを堪能する雫なのであった。
一方シロの心情は複雑であった。ここの住人が放っている気配がどうにも怖いのだが、そのお陰で雫の近くにいれるのは嬉しいのだが、今日だけではなくいつも雫やわんこたちに助けられ、守られている気がしてならないのだ。
今回のボス戦でもわんこと鉄ちゃんは1体ずつ敵を倒しているし、アンフェも回復魔法などを使って2人を援護していた。それなのに自分はたいして役に立たなかったと感じていた。そういった思いが今回のボス戦だけでなく常に付きまとっているのだ。実際はそんなことはないし雫たちも頼りにしているのだが思考がいったんネガティブになってしまうとなかなかその思考から抜け出せないもので、シロは雫にもふもふされながらどんよりとしているのだった。
ひととおりもふもふを堪能した雫は早速第8の街を見て回ることにした。フィールドに出現するモンスターが特徴的なため売っている武器やアイテムなどもそういったモンスターに効果がある物が多かった。
とわいえゴースト系は魔法が効果があるようだし、アンデットも頭部を破壊すれば大丈夫とのことなので特に店で何かを購入するわけではなかった。
「うーん。聖水ってポーションじゃないんですよね。私たちにかけても効果なしって書いてあるですし。なんで水かけただけでモンスターを倒せるんですかね。不思議です。」
その後も色々と品物を物色する雫なのであるがこれだっという物に巡り会うことはなかったのであった。




