表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
108/398

鬼と粘液

「おお。フィールドが広くなったです。ということは、やっと着いたです。」

わんこに乗った雫は漸くボスフィールドにたどり着いた。そしてそんな雫の目の前にボスだと思われる男女1組がいた。と言っても男の方は眠っているようであったが。

「ねぇ鬼人。来たよ。」

「ふぁー。まじかよ。今スゲー眠いんだけど。めんどくせーな。さっさと片付けてもう一眠りしようかな。」

男の方も起き上がり雫たちの前に立つ。2人の特徴として男の方は、頭に小さな角があり。女の方は若干透けているように見える。普通の人族には到底見えない2人組である。

「2人とも魔人ってやつです?」

と雫が問い掛けると男の方が、

「あ?そうだよ。俺はゴブリン・エンペラーから進化してな。鬼人ってんだ。こっちはキングスライムから進化したライム。宜しくな。つってもすぐ死ぬんだけどな。まあ俺も眠いしやるならとっととやろうぜ。」

にやりと笑う鬼人はそう言った瞬間凄まじい速度で雫たちに接近してくる。それをすかさず鉄ちゃんが止める。あのスピードで鉄の身体にぶつかった鬼人はダメージ1つ負っていなかった。

「お。いいじゃねーか。俺の初撃を止めるなんて、オモシレーじゃねぇか。」

そう言いながら鉄ちゃんと鬼人は肉弾戦に突入する。鉄ちゃんの装備である「爆拳の籠手」の効果で鉄ちゃんの攻撃が当たる度に爆発が鬼人を襲っている。しかも鉄ちゃんの鉄腕の威力も合わさった攻撃である。しかしそれを食らっても、ものともしていない様子であった。


そしてわんこの方もスライムの魔人であるライムと戦闘を開始した。

「鬼人のやつ、私にこんなに押し付けて。もう絶対後でお仕置きしなくちゃ。」

そうライムがいった瞬間、ライムの首が飛ぶ。

「わんわん」

不意討ちによる急所への攻撃を行うわんこ。女にも容赦をしない。普通のスライムならこれで絶命である。しかし伊達に魔人をしていないライムは、

「酷いじゃない。まあ再生するからいいけど。」

飛んでいった生首がライムの身体に吸収され頭が元どおりに生えてくる。

「それじゃあこっちからもいかせてもらうわ。『侵食』」

ライムはスキルを発動させると彼女のたっている地面がドロドロと溶け始める。すると鉄ちゃんと戦っている鬼人が口を挟んでくる。

「てめ、おいライム。それやんなっていつも言ってんだろうが。ドロドロで動きづらくなるんだよ。」

それを聞いて呆れた声でライムが返す。

「これ、一応私特製の酸配合だから動きづらいとかの話じゃないんだけどな。まあいいけど。」

そんなことを言っている間にもライムの領域は徐々に広がっていく。


雫は2人を強者と判断し加勢することを決める。しかし雫の動きに鬼人が気づく。

「おいおい。邪魔するなよ。てめぇーは俺の下僕とでも遊んでろ。『眷属召喚』『配下強化』ってな。」

鬼人は、眷属としてゴブリン軍を召喚し、『配下強化』を使い、そのゴブリンたちを1段階強くする。言うなればこのゴブリン軍はエリート部隊というやつである。

「面倒です。まあしょうがないです。アンフェ、シロ。やるですよ。」

雫たちも戦闘を開始するのであった。


鉄ちゃんと鬼人の戦闘は鉄ちゃんが有利に進めていた。凄まじい俊敏と馬鹿げた耐久力を併せ持つ鬼人も、拳で鉄ちゃんの防御を破ることは出来ず防戦一方であった。しかしやられてばかりじゃいられない鬼人は楽しそうにこう呟く。

「いいね。いいね。眠気も吹き飛ぶってもんだ。あんたがそんなに強いなら問題ねぇーな。俺も奥の手ってやつを出すか。まあ鬼に金棒ってな。」

鬼人の手にいつの間にか巨大な金棒が握られていた。それを見た鉄ちゃんだが構わず鬼人に突っ込む。

「おいおい。俺も舐められたもんだな。ッおりゃ。」

鬼人は思いっきり金棒を振る。迫ってくる金棒を片手でガードしようとした鉄ちゃんだったがそのガードごと鉄ちゃんの重い身体が吹き飛ばされていく。

「すげー重かったわ。あんな手応え初めてだわ。やっぱあんた…『身体装甲』っと。酷いな不意打ちなんて。」

鉄ちゃんが吹き飛ばされた方向から「鉄龍砲」が飛んでくるが鬼人は自身の身体を装甲に変えるスキルでそれを防ぐ。

「遠距離も近距離もいけるなんて俺の立場がねぇーよな。」

実に楽しそうに鬼人は鉄ちゃんを見ている。


わんことライムの戦闘。戦闘と呼べるかも怪しいこの対決は拮抗していた。普通に戦闘をしてもライムにはわんこに一撃当てることも難しい。それほどの実力差がある。しかしライムの特殊能力でわんこもライムを倒せない。

そのためライムが『侵食』で自身の領域を広げようとし、その領域であるドロドロをわんこが「影喰らい」という魔法で影ごとドロドロを食い尽くして消滅させようとしていた。その作業が両者拮抗しているのであった。

この根比べはまだまだ続きそうである。


雫たちは雫が荊を、シロが雪像を生み出し戦闘を行い。アンフェは幻惑魔法でゴブリンたちを同士討ちさせていた。しかし数が多く闇雲にボムを使うとわんこや鉄ちゃんまで巻き込むため使えないとなって雫は少し苦戦していた。

「もういいです。面倒になったです。わんこ。あれですあれをやるです。」

ライムと領域争いを繰り広げてるわんこに雫が指示を出し、間髪入れずに

「いくですよ。てい。」

雫はボムの上位版、ビックボムをあり得ないことに、自分の真下に投擲する。普通なら即座に雫を巻き込んで爆発するのだが今回はそれは起こらず投擲されたボムは雫の影に呑み込まれて消える。

これは、わんこの影移動を利用した投擲術でありかなり難易度が高く失敗すれば自爆の危険性がある技である。でも今回の影に消えたボムは無事鬼人の影から出てきた。そして

「ドッカーーーーーン」

鬼人に爆発が直撃し、爆発の衝撃でライムの近くまで吹き飛ばされる。鬼人は原型をとどめているが丸焦げで戦闘どころか立ち上がれる様子もなかった。

また鬼人の眷属であるゴブリンたちも主人の大ダメージによって消えていった。形勢は完全に雫たちにあるように思われた。しかし

「あらあら、鬼人。酷くやられたわね。やっぱり日頃の行いが悪いからね。」

などと軽口を叩きながらライムは鬼人を自身の身体に取り込んでいく。雫たちは悪い予感がして止めようとするが遅い。

「それじゃあ『同化』それと『再生』っと。」

その2つのスキルによってライムの身体、全てが再生し元どおりに戻る。

「ぺっ。ほら起きて鬼人。」

そう『同化』で一時的にライムの身体の一部となっていた鬼人も一緒にだ。

「いてて。悪い。助かったわライム。それじゃあもう一回やろうか。」

ボス戦第2ラウンドの始まりであった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ