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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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閑話 : わんこの平凡な1日

雫がいつものようにゲームにログインしたある日、雫たちはフィールドで戦闘を行っていた。とはいえ雫は採取が出来そうな場所でなければ基本的にわんこの影に入っており、それにアンフェも付き添うため、戦闘はわんこと鉄ちゃんが主に行っていた。

ただわんこの影の中に入っていたとしてもスキルや魔法の効果は消えないため、アンフェが所有しているスキル『人気者』の効果で通常のモンスターに遭遇する数やレアなモンスターが現れるのが多くその分戦闘回数は普通のプレイヤーの比ではないのである。

そんないつもの日常でわんこはいつものように影を操りモンスターを倒していく。相手の攻撃を受けながら戦う鉄ちゃんと違い、敵の攻撃のほとんどを避けながら戦うわんこにとって数が多いというのは、それだけで難易度が高いのだが、それでもわんこは一撃も食らうことなく戦闘を続けていくのであった。これが雫を一番最初から守ってきたわんこの実力なのであった。



そんなこんなでいつもの通り進んでいたわんこたちだったのだが突如、影の中から雫の指示が飛ぶ。

「なんかあっちの方に面白そうなものがある予感です。わんこ、行ってみるです。」

雫が指示した方向は今、現在進んでいるメインのフィールドから外れてしまう。しかもその指示された方向にあるフィールドには特に変わったものが有るようには見えない。ただ雫の指示のためわんこたちはそちらの方面に進んでいくのであった。

こういった突然の進路変更はよくあることであった。雫はなんとなくで動くことがあり、その結果無駄足になることも少なくないが、それすらも雫は楽しんでいる節があるのである。



雫の指示された方向に進んでいくと段々モンスターの傾向が変わっていくのをわんこは感じていた。こういうときは大体当たりを引いたときのためわんこは自身の主の勘に半ば呆れつつも進んでいった。そしてこういった場合の雫の行動パターンを考えると苦笑いをした。


わんこの考えた通りに、雫は動くのである。

「行くですわんこ。どんどん行くです。」

いつもと違う感じのフィールドに着くと雫は影から出てきてそのフィールドを観察しながら楽しむ癖があり、わんこにしてみれば回避の難易度が著しく高まるのであった。ただそれでも雫に相手のモンスターの攻撃を危ないと思わせないわんこの技量はさすがなのであった。


どんどん奥に進んでいくとモンスターの系統がわんこにとって一番厄介な爆発系のモンスターに集中し出した。第1のフィールドの森に出てきた爆撃虫の上位種であるボム・ワームや集団で襲いかかってきて近くに来たタイミングで一斉に自爆する小さな虫の集団であるレギオンなど様々な種類の爆発系のモンスターが出現し出したのだ。爆発系の攻撃は攻撃範囲が広いだけでなく、爆風などの攻撃の余波もあるため守りながらの戦闘には不向きな相手なのである。しかしそんなことを知らない雫は

「おお。色んなやつがいるです。いいですね。」

とモンスターの素材に興味津々であった。


その後アンフェの助けも借りながらなんとか爆撃の嵐をくぐり抜けたわんこの目の前には雫の数倍は大きな女王蟻が立っていた。その回りには無数の兵隊蟻もいる。これまでのモンスターの傾向を考えるとこの蟻たちも爆発するであろうことは容易に想像ができた。

「わんわん」

その事を雫たちに伝えながら慎重に作戦を考えていたわんこに雫は、

「あれ全部爆弾蟻ですか。面白いです。私のボムとどっちが上か確かめさせてもらうです。」

と驚くべきことを言い出す。慌ててわんこが止めようとするが遅く雫は通常は使わない「ビックボム」を女王蟻に向かって投擲するのであった。

「ドッカーーーーーーーーーーーン」

ビックボムの爆発と蟻たちの爆発が連鎖し更に巨大な爆発を引き起こしそのフィールドは一面焼け野原となる。間一髪で影へ回避させるのを間に合ったわんこは安堵の表情を浮かべるのであった。


そんなこんなでいつも通り大変な目に遭ったが漸く雫が指示した方向の終着点に辿り着いたわんこたちである。そこに広がっていたのは広大なお花畑であった。素材的な価値は一切なくただ綺麗な光景が広がっているだけであった。しかしこれを見た雫は

「おー。凄いです。凄い綺麗な花畑です。ねっわんこ。わんこもそう思うですよね?」

普通のプレイヤーならば完全な無駄足と考えてもおかしくない状況だが雫はこの光景を見て純粋に喜んでいた。それを見たわんこは軽くため息を吐きながら

「わん」

嬉しそうに返事をするのであった。


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