アイテム実験
銃をベレッタに向けたまま雫は喋り出す。
「それでもう一回聞くです。あんた誰です?」
そう問われるとベレッタは
「私の名はベレッタ。王国騎士団所属の騎士だ。」
と答える。さっきの応答にもあったため新しい情報がない。
「別に私はあんたの職業とか名前を聞いてる訳じゃないです。なんの目的があって私たちに襲いかかってきたです?」
もう一度問い掛けると
「正義のためとしか言えません。」
そう答えてそれ以降口をつぐんでしまった。
「こんなことをやってても面倒なだけですけど、放置するのもなーです。さてどうするですか。」
雫は唸りながら今後について考え始める。その隙をついてベレッタは、逃げるなり反撃するなりの行動をとろうとするが、わんこと鉄ちゃんが睨みを利かせているため下手な動きはとれない。そうこうしているうちに雫は結論を出す。
「今の私のマイブームがですね、キノコで遊ぶことなんです。それで色々と作ってるんです。それでこの前できたキノコを使って作った新しいアイテムがあるんです。」
「...それがなにか?」
「あんたにはこれの被験者になってもらうです。アイテムの効果を見る限り知能がある程度ないと真価を発揮できないぽいです。」
それを聞いてベレッタは、顔がひきつる。そんなものはお構いなしにアイテムを取り出す雫。雫が取り出したアイテムをベレッタに投げつける。
「ちょっとまっ...」
そのアイテムはベレッタに当たり、その瞬間煙がベレッタの全身を覆う。煙が晴れるとベレッタは眠ってしまっていたのであった。
「えーとベレッタっていったですか。できればもう2度と私たちの前に現れないことを願ってるです。さすがに今度邪魔してきたら手加減できないです。ああ、あとわんこ頼むです。」
雫はわんこにお願いをする。
「了解。「影牢」」
わんこが魔法を発動するとぐっすりと眠っているベレッタが黒い柵のようなもので囲まれる。
「これでたぶんですけどモンスターに襲われることはないです。ああ、あと実験に協力してくれてありがとうです。それじゃあです。」
そう言って雫は去っていった。
雫がベレッタに使ったのは効果の通り「睡眠玉」というアイテムであった。他にもベレッタに使おうか悩んだアイテムはあった。キノコで作った「催眠玉」や「寄生玉」など危険なアイテムを使って今回のことを探っても良かったのだが、いかんせん雫が飽きてしまったため平和的な解決となったのだった。この雫の飽き性のお陰で犠牲者はベレッタだけで済んだのであった。
「さてとです。ここどこです?」
王都に戻るのも面倒だったため、雫はどこに繋がっているか分からないフィールドを進んでいってしまった。そのため現在地がどこなのか、分からなくなってしまったのであった。
「わんわん」
王都を離れたため狼の姿に戻っているわんこはいつも通り雫を上に乗せながら雫に話しかける。
「違うですわんこ。別に迷子じゃないです。私は子供じゃないですから大丈夫です。すぐにどっかに着くです。」
かなり怪しい発言だがそうは言っても進むしかないため雫たちはフィールドを進んでいく。
少し進むと王都周辺に出現してくるモンスターと種類が変わってきていることに雫は気づく。
「なんかさっきから水っぽいやつが多くなってきた感じがするです。」
雫がそんなことを言うのも相手のモンスターが使ってくるスキルや魔法が水に関係したものが多くなってきたからであった。そしてその推測が正解かのようにちらほらと湖や川がフィールド上に現れ始める。
「なんかフィールドまで水っぽくなってきたです。本当にどうなってるです。」
そう言いながら進んでいくとだんだんそういった特徴は顕著になっていった。雫が進んでいるフィールドがもう水のフィールドと化した頃、雫の目の前に街らしきものが見え始めた。
「なんか色々と不安でしたがやっとついたみたいです。」
雫は次の街に着いたようであった。




