新たなる武器
ここは王国騎士団が利用している駐屯所の1つであった。そこでは2人の人物が話をしていた。
「王都が広大だからといってなぜ小娘たちを見つけ出せんのだ。いつから王国騎士団の実力はここまで地に落ちたのだ。」
1人の男が少し怒ったような口調でそういうと
「確かにかなりの人員をかけた捜索をそう長時間掻い潜れるとはとても思いませんな。ということはまさかとは思いますが「姿隠しのローブ」を所持しているのではないかと推測いたします。」
「…そんなことあり得るわけないであろう。一介の冒険者風情にあんな高価なものが買えるわけなかろう。」
「それならば何かしらの魔法か何かで目眩ましをしているのでは。」
「…ということは王国騎士団の目を掻い潜り続ける程の魔法の実力があるということになるな。もしそうだったとしたら中級以下の騎士どもでは荷が重いということか。」
「しかしどうしましょうか。さすがに上級以上の騎士たちにあの娘を探させるのは都合が……」
何かやましいことがあるようで男が口ごもると
「確かにそれはちと都合が悪い。だがあいつなら大丈夫であろう。」
「あいつとは?」
「ベレッタじゃよ。」
男たちが怪しげな会談をしている頃雫は、クエストに勤しんでいた。といっても雫は、王都に来る途中に色々な素材を採取しながら進んで来たため、思ったより簡単にクエストはクリアできそうであった。
王都には雫たちが通ってきた第7の街に繋がっているフィールドと第8の街に繋がっているフィールドの他にどこに繋がっているフィールドなのか雫には分からない物も何個か存在しており雫はその内の1つにいた。
「ダメですシロ。それは私が採取するですからシロは別のやつを取ってくれです。あっアンフェ、ダメって言ってるです。」
雫はシロとアンフェと一緒に薬草などの採取していた。だがあんまり雫の言うことを聞いていない様子であった。その横でわんこと鉄ちゃんはモンスターたちと戦闘を行っていた。
「ドコーーン」
鉄ちゃんは小鉄たちを呼び出しながら雫から貰った籠手を使ってモンスターたちを殲滅していた。接近戦を挑んだモンスターは爆発音と共に生じる鉄腕と爆発の衝撃をもろに食らった。耐えられるモンスターはこのフィールドの周辺には存在していなかったようである。また接近戦を嫌って距離をとっても「鉄龍砲」や小鉄たちを使った遠距離の攻撃方法を持っているためモンスターたちに逃げ場は無かった。
わんこはというといつも通り影を操りながら戦っていた。
「多すぎて面倒。」
雫のようなことを言いながら群がってくるモンスターを倒していった。
「わんこ、鉄ちゃん。折角なら色々と試してみるです。まだあんまり慣れてないですよね。」
雫は2人にそうやって指示をする。そこまで脅威になるモンスターがいないため、進化して出来ることが増えた2人に色々と試し撃ちさせようとしていた。
「分かったマスター。」
「………………」
そういうとアンフェが
「~♪~~♪」
「ん?アンフェもやりたいですか。まあいいですよ。こっちもすぐ済むですしやってこいです。」
雫はシロと一緒に採取を続けるのであった。
その後クエストのクリアに必要な素材を集め終わりわんこたちも大方スキルの試し撃ちも終えたため古びた店に戻ってくると店員は少し驚いたような表情で雫を見ていた。
「思ったより随分と早かったわね。少なくとも日は跨ぐと思っていたわ。まあでもこんなに戦闘をこなせるのならこれも私の想像より上手く扱ってくれそうね。はい、これを貴方にあげるわ。」
雫の目の前にはクエストクリアの文字と店員から手渡された武器があった。そしてその武器は雫も知っている有名な武器であった。
「これは銃です?」
「あら。よく知ってるわね。そうよ。それは「魔法銃」という武器よ。大事に使ってほしいわ。」
雫は店員から渡された銃を見ながら
「わかったです。それじゃあ。」
古びた店を後にするのであった。
「来てくれたかベレッタ。」
「はい、長官。それで私に任務とは何でしょうか。他の騎士たちはいないようですが。」
「ああ。これは君にしか頼めない任務だ。正義のためのね。やってくれるかい?」
「正義のため…分かりましたこのベレッタにお任せください。」
ベレッタ。彼女は騎士団でも有名な騎士であった。但し扱いやすい性格のためであったが。




