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誤解が解けた事で、悪意は…というか怪しげな異世界人へ向けられた、少しばかりの厳しい感情は雲散霧消した為、騎士さん達も我が家に入れるのだが、帯剣した人間を招き入れる気などさらさらない兄は、縁側へと騎士達を誘導した。


専ら我が家では兄の喫煙所となっている縁側は、土間部分に雪囲いがされていて、中には小さなガーデンテーブルと2脚の椅子が置かれている。


私とアル君は縁側に腰掛け、2人の騎士がガーデンテーブル席に、兄は雪囲いに寄り掛かるようにして喫煙タイムだ。その他大勢の騎士達は庭に放置し、一応せんべいと一緒に頂き物のカ○ピスを紙コップに入れて渡しておいた。気に入ったのか大人しく庭で食べているようだ。


隊を率いる隊長、副隊長だという2人には、ちゃんとしたお茶をと思ったが、カル○スが気になるようなのでグラスに注いだ乳白色のそれを渡した。


「20歳――!!それは真か!!」

「どう見ても12、3…いや15に見えなくもないか…」

「失礼だな!!」


いくら日本人が若く見られるからといって、12歳ってどうよ!確かに静姉のような大人の魅力はないし、背も低いけど。

傍らでは、兄が肩を震わせて笑いを堪えている。


「その年齢が本当なら、その歳でまだ未婚というのは……」

「隊長それは…幼すぎて貰い手がなかったのかもしれないですし…」

「やはり、見た目かっ」

「あ、あの…シズクさん。こちらでは15から18歳位で婚姻される方が多くてですね。決して、シズクさんがいきおくれ(・・・・・)だと言ってるのではなく」


アル君…それ、フォローになってないから!!

さっき聞いたら、シュルツ隊長が25歳、バーン副隊長は23歳。しかもバーン副隊長は新婚さんだという事だ。頭バーンしてしまえ!!


因みに、忍兄は30歳、静姉は28歳。ともに独身ですが何か?

2人の騎士に姉の年齢と未だ独身だという話をしたら「何か身体的に問題があるのか?」と聞かれた。


ほんと失礼だな君たちは!!姉にはちゃんと彼氏がいるぞ!まだお付き合

い半年だけど。それまではちょっと脳内が腐って(BL)たから、3次元の男性に縁がなかっただけだよ。


佳里菜さんと瀬里菜さんが聞いたら怒るぞ!御近所でも有名な双子の美人姉妹は28歳未婚だ。あの2人はもてるんだ!余談だが双子姉妹の自家用車はト○タ車ではない、残念だ。実に残念だ。


「ああーその……俺達の世界では、経済的にも精神的にも自立した未婚女性が多いんだ。仕事バリバリやって社会的地位も確立してるから、旦那がいなくても生活できるし問題ない。まあ馬鹿な亭主もって苦労するくらいなら、稼いだ金は老後の蓄えと趣味につぎ込んだ方がずーと有益だって女性は多いね」


兄がフォローしたのは姉だろうか?それとも美人で怖い幼馴染だろうか…


とりあえず、こちらの現状を簡単に説明したところ、あっさりと信じてくれたのは兆候だ。何でも、数百年だか前にも、異世界からの渡り人が現れたという伝記が残っているらしい。まさか異世界トリップの先達がいらっしゃったとは、道理ですんなりと信じるわけだ。


私達が流れ着いたこの世界、思った通りのファンタジーだった。

機械文明ではなく、魔法文明が発達したとでもいうのか、動力源が魔力らしい。都市部はちゃんと上下水道も完備されていて、魔石という動力を使った電灯やら冷蔵庫やらも普及しているとか。驚いたのは携帯電話があったこと。基地局から離れた所は通じないが、あの城郭都市内部なら全域通話可能らしい。


ただし、魔石鉱を持つこの国の魔石家電?普及率は、この世界でも最たるもので、他国ではまだまだ普及していない地域が多く存在するらしい。

まあ、地球世界のエネルギー事情と違い、土地も空気も水も汚さないのならエコでいいんじゃなかろうか?魔石は鉱山資源らしいので、いつかは枯渇するのだろうが、それは数百~千年は先らしい。


外に見えた城郭都市は、この国で2番目に大きいルーキス=オルトゥス辺境伯領。古い都市ながら、やり手の領主が公共事業に取り組んだお陰で、国内でも最も整備された新古が併存する珍しい城郭都市だそうだ。


我が家に押し寄せてきたこの騎士達は、そのご領主様お抱えの私設軍とでもいう感じだろうか。あーなんだか厄介な事になりそうな予感がする。


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