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男の名はアルフレッド、27歳の独身魔術師、見た目が可愛いのでアル君だ。金髪、紫目の、優しげな面差しをしたイケメン君だ。

差し上げたライターに甚く感動していた…が、彼は指先に魔術で火が灯せるらしい。

君、ライターいらんぢゃないか。


「神級クラスの上位結界ですね」


ライターを大切そうに片手に握ったまま、アル君が説明してくれた。言葉が通じないと意思疎通が出来ないからと、双方の言葉がわかるという魔術を施された。おかげさまで、言葉に不自由なく意思の疎通ができるのだ。ライターのお礼ですか?


「はぁ、ケッカイねぇ?」


兄が胡散臭そうに聞き返す。意思疎通の魔法をかけてもらっておきながら、魔法を信じないなんて。


「はい、この家の主であるシノブ様とシズク様。お2人が拒んだ者や悪意がある者を弾く結界のようです」

「アル君…様はいらない。雫でいいよ。それで、誰がその結界をはってくれたの?」

「は、はいシズクさん――結界はこの家の方がはったのだと思われますが?」


はっ?兄はいつの間にそんな高スペックな能力を身に付けたんだ?それとも、お約束のチートな能力が発現しだのだろうか?兄の方をじーっと見つめる。


「忍兄ぃ?」

「違うぞ……」

「わ、私だって違うよ…は!?それとも自分でも気付かない間にチートな力が!?」

「……わさび?もしかしてお前か?」

「くぅぅん?」


おや?わさびでもないようだ。


「いえ、お2人ではありません。ですが、この家の中にいらっしゃる様ですよ?」

「………はっ?」

「ええ、ですから、結界を張った方は家の中に」

「いやいやいやいや……うちは私達兄妹と犬だけで、他には誰も住んでません……」


逆に住んでたら怖いだろ。


「いえ、確かに他に大きな気配を感じます。その方がこの家に結界を展開したのでしょう。ああ、あちらの方から幾つかの気配が」

「うぇぇぇっぇぇぇぇーーーー!!ないないないない。何それ?誰それ?か、家宅侵入ですか!」


思わず傍らの兄の腕にしがみつく。はっ!!もしかして亡くなった御爺ちゃんが!?


「雫……落ち着け。アルフレッド君、君はその結界とやらをはった奴が何処にいるのか分かるんだね。そいつの所まで案内してくれるかな」



―――その後、アル君と共に無断で家宅侵入者している変質者狩りを行った。

捕獲したのは3人、いや3匹。


「あー……アル君、これがそうなのかな?」

「はい、この方々です」

「方々って――――これ、人ぢゃないし」


捕獲したのは我が家に住み付いていた3匹のヤモリ。そうニホンヤモリだ。家守というだけあって、異世界に来ても我が家を守ってくれていたらしい。

確かに、風呂場でヤモリを見かけても、駆除とかせずに逃がしてるけど、まさかヤモリに守られるとは思わなかった。恩返しですか?


残念ながら、異世界でチート能力が発現したのは、兄でも私でもましてや愛犬でもなく、我が家に住み付いた小さなニホンヤモリ3匹だった。

うちの風呂場にときどきヤモリがやってきます。

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