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奴隷商に捕らえられていた間に肉が落ち痩せ細ったコウだったが、ここ最近で随分肉が付いたし、長くボサボサだった銀灰の髪もオネエなお兄さんに短く整えられてこざっぱりとした。

因みにそのコウはシャール様の【魅了】効果付き香水で軽い魔素酔いを起こし、ソファに腰掛けた忍兄の膝を枕に撃沈している。


正面のソファに腰掛けているのは、コウと同じ年頃のもっさい男の子。黒いボサボサの髪と深蒼の瞳をしたカイト君だ。まだまだ細身と言える体格だが、仮にも獣人族であるコウよりかは幾分がっしりとして、上背があるのでヒョロリとした印象だ。

忍兄とは何度か顔を合わせた事があるらしく、セスさんと同じ魔人族貴族を後ろ盾に持つ芸術家だと紹介された。


「絵?……ですか?」

「正確にはアニメーションだな」

「あ、あに…め…い?」

「アニメーション、動く絵だよ」


そう次の新曲パクリだがはあのアニソン神曲なのだが、元ネタがアニメなのでPVは異世界初のアニメを映像として使うことになった。PVは楽曲を含む映像作品、所謂プロモーションビデオの事だが、ストーリー性のあるアニメを盛り込む事で曲を理解しやすくしようという試みらしい。

ただし、あの色っぽいキャラクターではなく、ツルペタなダブルキャラが悪漢を懲らしめるというオリジナルアニメらしい。

はい、私とセッカの事です…そしてこれを提案したのはアル君です。心から止めて欲しいわ…


「この2人をデフォルメしたキャラを描いて欲しい。ストーリーは」

「はい、これです♪」


アル君渾身の絵コンテらしきものを手渡す。うゎー絵心ないわぁー。


「撮影した映像ではなくて、僕が描いた絵が動くんですか?凄い!!面白そうですね♪是非やらせてください」


そうして徐に始まった絵のモデル…何と言うか人にジロジロ見られるのって凄く不快だし、恥ずかしい。アル君に指示された通りにポーズを決めるセッカを横目に、茶をすすりながら兄に愚痴ります。


「っつーかさぁー、穴があったら入りたい、引きこもりたい、世の中全て滅んでしまえ」

「雫、アニメ好きだろーが。自分が主役のアニメなんて中々ないぞ」

「だったら忍兄がやれば?」

「俺が出演すると違うアニメになるぞ?」

「悪役か、ラスボスか、BLね」

「とゆーか、お前らのコンビ名まだ決めてなかった…」

「今さらかよ!!ってかコンビ言うな!!」


前回の動画配信の時に気付いてください。そこへ「芸名どーする?」という忍兄。


「キューティーセッカ?」

「そうなるとお前はキューティー雫だぞ」

「それは嫌ぁ。つうかこの曲からつけんの?」

「アニメが好評なら、キャラクター商品作って売る。売って売って売りまくる」

「忍兄ぃ・・・なんか他にも商売してるって聞いたけど、何売ってんの?」


あ、目逸らした………いったい何を売っている??


「で、出来ました」


カイト君からスケッチブックを受け取った忍兄は、そのイラストを見たレイコンマ1秒でカイト君の頭をスケッチブックで叩いた。


「誰が写生しろっつった。俺はキャラを作れと言ったんだ」


スケッチブックには見たままそっくりに描かれた私とセッカの姿。画家だけあって確かに上手い。


「シノブ…これじゃ駄目なのか?」

「……ほう、流石に上手いですね」

「す、すみません…何処がいけないのでしょうか?」


騎士達とカイト君はアニメを見たことがない。相互の認識不足だ。

というか、赤毛脳筋め…いつの間に兄を呼び捨てにする仲になったんだ?


「仕方ないな……雫、アルをモデルに描いてみろ」

「――――え?いつものタッチで良いの?」

「それしか描けんだろーが、アルは自分がイメージするアニメキャラを描いてみてくれ」


双方に手渡されたスケッチブックにサラサラと描いていく。ポーズを決めて、身体にする大まかな線を描く。

――――バシッと忍兄に叩かれた。


「誰がM字開脚で描けといった。普通で良い、普通で…」

「いや、これが通常運転なんで……」

「シ、シズク殿は何を描いているんだ?」


バーンさんに訝しい視線を送られながら、違うポーズで書き直して忍兄に手渡した。呆れた様子でそれを一瞥し一応の合格を貰う。アル君もどうにか描けたらしい。


「カイト……この中間で描け」


皆の前に、2枚のイラストが並べられた。

アル君が書いたのはセッカをモデルにした3頭身の可愛い絵?…になるはずだったもの。表情が微妙でちょっと怖い。


「アル画伯……これサダ○?」

「シ、シズクさんは何てモノを描いてるんですか!!」

「アル君だよ♪それと、おまけのコウ」


漫画絵だがちゃんと特徴を捉えているので、誰の事を描いたものか分かるはずだ。

シャツを肌蹴てソファに腰掛けるアル君と、アル君に向かい合うように跨って座る全裸のコウです。危ない部分は尻尾で隠れてますよぉ。よし、大丈夫!!


「大丈夫じゃないだろ」

「シズク殿は、しゅ、春画が上手いのだな」

「こ、この中間ですか……」


いや、大丈夫でしょう。挿入してないし…。

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