第5話
短いです。
どうやら私は転生と言うものをしたらしい。それも兄妹そろってとはどうしたものか。
大本を残すために切り捨てられかけた魂の一部が、中途半端に残ってしまい、そこに一番最近で強い記憶だった私が出てきてしまったようだ。
本体である今の私、ツァレクにも影響がでてしまい辛い思いをさせてしまった。
自分というものをはっきりさせたツァレクは私が少し混ざってしまっていたが、あれくらいなら大丈夫だろうと勝手に思っておく。混ざった私を自然に使いこなして兄と話をしている様を見ていると兄と目があった。私に気づいているようだ。
相変わらず獣のような人だこと。
いつも自由で勝手で気ままで、最後の最後まで周りを振り回してくれた兄は、ずいぶんと可愛らしくなってしまったが、変わってないようだ。
ツァレクに戻ることもできず、困ったように笑う。時間が経てば経つほど私がはっきりとしてくる。
どうなってしまうかはまったくわからないのは正直不安だ。
私は十分生きた。
兄に振り回された子供時代も、兄に殴られても一緒にいてくれた主人に会って、子供が生まれて、兄を捕まえた女傑のような義姉に会えた。孫が生まれて、主人と一緒に兄と義姉の喧嘩を止め、義姉が亡くなって、追うように兄が逝って、孫の結婚式を見て、主人が逝ってしまって、ひ孫を見て、私は十分生きた。
だから、好きになさい。
私なんて気にしないで、ツァレクは好きなように生きなさい。私もそう生きたから。
戻ることも消えることもできないなら、しかたないでしょう。誰が悪いだとか、そんなのありはしないでしょう。こうなってしまったのはどうしようもないのだから、仕方ないの。
だから私は見ていることにする。
不思議は昔から好きだった。探検も謎も好き。
私は私で今を楽しむから、今を生きるツァレクはツァレクで楽しみなさいな。
気にしてたって何も変わりはしないのだから、しゃきっとなさい。しゃきっと。
なんだが自分を見てると言うよりは孫を見てるようだと思う。
孫はいや?生意気だこと。
だったら妹?私は末っ子だったから嬉しい。
今を生きているのはツァレクだから、過去を生きた私はほんとは関わらない方がいいのだとわかってる。
でも、好奇心には勝てない。
第一、ダメならさっさと私を止めな方が悪いと思う。人の良心なんて必ず揺らぐものなんだから。欲が出るのは生きてるもの全てにあること。私はすでに魂の一部だし、生きてるとは言えないかもしれないけど意志がある。考えることができる。だから、私は私の自由にする。ツァレクはほっとけないし、妹だし、兄は目が離せないし、父親はなんか心配なのだから仕方ない。
結論、神様とかが悪い。
さて、新生活を楽しもうかしら。
ばあ様を楽しませてちょうだいね。
精神年齢80歳以上。ばあ様が出動しました。