第9話
最初に殺した豚がまさかの!
いやー、貴族殺しをやってみたかっただけです。
その夜、俺とレンは宿の窓から抜け出した。兄さんに気づかれないようにね!
「レン、お前の姉さんのいる屋敷まで誘導してくれ。」
レンの話によればお姉さんは俺が殺したブタの息子が所有しているらしい。レンに先頭を走らせて俺はその後をついていく。全力じゃないけど強化されてる俺と同じ速度って結構すごくね?やっぱ獣人って肉体的にすごいのかね?
しばらく考え事に没頭していた俺はいつも間にか屋敷についていたのに気が付かなかった。
「・・・着いた。」
そこは領主の家だった。周りとは別格の家がそこにあった。
「てことは、お前の姉さんの所有者は領主の息子?」
静かに頷くレン。領主を殺してさらにはその息子の奴隷にまで手を出すのか・・・。
「めんどくさそうな感じがするけど、とりあえず行くか!」
俺たちは静かに屋敷に侵入した。屋根からの侵入は警備に気付かれずに入るのに最適だった。
レンが言うには地下牢に奴隷がまとめて詰め込まれているようだ。そこに忍び足で急いで向かった。地下牢の扉の前まで来て俺はレンに確認を取る。
「本当にここでいいんだな?」
地下牢には鍵が掛かっていた。とりあえず雷の熱で溶かして押し開ける。
そこには、鎖につながれた女や男たちが大量にいた。人間が多いけど獣人も少しだけいた。
正直、ここには居たくなかった。人が過ごすような場所じゃない。
奴隷たちは俺たちを見て驚いた声を出す。
「黙れ。今はこいつの姉さんを探している。知らないか?」
奴隷たちの視線が一つの牢に注がれる。俺とレンでまっすぐそこに向かった。
ただでさえこの地下牢は臭い。そこに、血の匂いが混ざってくる。いやな予感を振り払いながらその牢に近づく。
「これはひどい。」
それを見た瞬間レンは顔を逸らして、俺は顔を顰めた。
そこには大量の死体が積みあがられていた。
「これが全部奴隷の死体か・・・」
人目見ればそれが奴隷とわかるような服の死体があった。一番手前のところに顔が潰れて確認できないけど猫耳で銀髪の女性の死体があった。
「これが、お前の姉さんか?」
レンに尋ねると、レンは恐る恐るそれに目を向ける。
「・・・姉さん、嘘つき」
静かに呟くレン。それに手を合わせて黙祷する。その後、俺はレンに帰るように施す。
それで、渋々と動くレン。そうしていると部屋の向こうから人の声が聞こえる。
「ははは、いい加減新しい玩具でも探さないとね!(笑)」
「お坊ちゃま、最近新しい奴隷を使いつぶしたところじゃないですか。そういって、お父様のお金をお使いになるのはおやめください。」
「うるさい!もう、親父は死んだのさ!すべての金は俺の物になったのさ。」
そういって扉の前に立つ。
「扉が壊れてる!おい、そこにいるのは誰だ!」
あ、見つかった。どうしよう・・・。
俺は扉の方を見る。そこにいたのはイケメンマッチョな男だった。
死刑決定!世の中のイケメンは死んでしまえばいいのだ!ていうか、親がブタなんだから子もブタだろ、普通。
「うっす。」
男と目が合う。うわー、見ただけで性根が腐ってるのがわかっちゃうよ。
「警備の者を呼べ!そこの男、動くなよ!今から捕まえてやるよ。」
捕まえるって言われて動かない不法侵入者はいない!
俺はレンを片手で抱え上げてもう片方の手で風を起こす。
「な!風の魔法!?魔法使いが盗賊をしているとは!」
いちいち声の大きいやつだな。魔法じゃないよ。たぶんだけど。今回の風は空気を固めてそれをぶつける。
「ふぎゃ!」
固めて空気が腹に当たった領主の息子は腹を抱えて蹲った。
俺は人を傷つけることにためらいがなくなっている。正直、ブタを殺した時もなんのショックを受けなかった。俺はもともとこんな人間なのか?
「・・・殺さないの?」
レンが殺して欲しそうな顔で俺に聞いてくる。
「殺したいなら、自分で殺せ。許可する。」
自分の声がすごく冷たく感じる。もともと俺はこんな性格だったか?
俺はそこでレンを降ろす。俺の言葉を聞いたレンは、領主の息子の腰にあったナイフを奪ってそれを領主の背中に突き刺して殺した。レンがナイフを奪って突き刺す間もずっと蹲った状態の領主の息子。その筋肉は飾り物かよ・・・
領主の息子と一緒にいた男は警備を呼ぶためいなかったので、警備たちが来る前に撤退をする。顔を見られたのは領主の息子だけだったので今後付け狙われる心配はないだろう。
レンを引き連れて急いで元の道を辿る。何回か、警備とぶつかりそうになったけどどうにかやり過ごす。今度も屋根の上から逃亡する。
「宿に着いたらとりあえず寝るか・・・」
急いで宿の方向へと走り出す。
いやーレンちゃん容赦ないね!( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
なんか最近AAにはまってます。