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第86話

「さてと、ゼオンはどこに行ったんだ?」

1人、悠々と廃城の廊下を歩いている集は物思いに耽る。

(これは陰謀論の可能性がとんでもなく高くなってきたな。はあ、正直に言って嫌な予感しかしないからな~。)

自身の神としての感がさっきから警報を鳴らして止まらない。この状況で異世界人が出てきたことがそれに加速させていた。

「ていうか、ゼオンはどうして罠を何も解除してないかね。回避するのはいいけど後続のことも考えてくれよ。」

さっきからうっとおしく点在するトラップを集は一々解除をして愚痴る。ただでさえ、考え事をしているのにトラップの解除を並列してやるのは集でも手間取る。

「それにしても、人がいなすぎるだろ。気配が全くないぞ。それどころか残滓すらない。本当に野盗の拠点か心配になる。」

実際は異世界人がいた時点でここが野盗の拠点であることは確定しているが、それと不安になるのとでは別問題である。

(それにしても上が騒がしいな。ガンランとゼオンがパワータイプとはいえ、この城壊すつもりか?)

さっきから少しづつ音が大きくなっている地鳴りに集は不安そうな表情をして廃城の状態を安否する。

そうしながらも進んでいくと謁見の間のような場所に差し掛かり集は頭だけを出して中を覗く。

「がははは!やるじゃねえか、序列37位。」

「そっちもな!さすがは序列元29位!」

(なんか知らないけど盛り上がってて入りずらい。)

中から聞こえてくるその声に集は辟易として勝負が終わるまで扉の前で待機することにする。

(楽しそうにやりあうね~。)

どんどん盛り上がって底が抜けたのかとてつもない衝撃と音がなってから埃が扉から溢れてきた。

それから少しして音がなくなって集はもう一度中を覗く。

「おお、さすがだな。」

見事に底が無くなった謁見の間を見て集は感嘆の声をあげる。更にその下を見ると血だらけになったゼオンが同じく血だらけのガンランを前に鎚を杖にして辛うじて立っていた。

「おお、元とはいえ上位をやるなんてすごいな。時間稼ぎ程度にしか考えてなかったよ。」

「うるせぇ!てか、お前舐めてるのか?!」

「元気だな。そんだけ血を流してるのに。」

上から首だけを覗かして集が本音を言うとゼオンが重傷とは思えないほどの大声で怒鳴る。それを聞いて集は瓦礫をうまく利用してゼオンがいるところまで下りていく。

「殺してないよね?」

「大丈夫だろう、・・・たぶん。」

ゼオンの言葉に不安になって近づいて脈を図ると弱いが死にかけてはいないことに集は溜息をつく。

「ギリギリだな。これならギルドまで持つだろうね。」

そういって集は2m以上あるガンランの体を持ち上げてドアを探す。

「出口どこだ?」

「なけりゃ、作ればいい。」

ゼオンの不穏な発言に集が咄嗟に伏せると爆音とともに何かが崩れ落ちていく音が聞こえることに集は嘆息する。

(ああ、こいつは壊鎚とか呼ばれてるやつだった。)

自分の体の上にかかっていた埃を落として集はゼオンが開けた風穴を見る。

「出口がなければ、作ればいいなんてどっかの漫画の台詞かよ。」

「あ?なんか文句あったか?」

「は~、別にない。ただ、もう少し前に忠告してくれ。驚くだろうが。」

「はっ、ビビったのかよ?」

(こいつさっきのこと根に持ってやがるな。)

それなりに集が過小評価していたのが気に入らなかったのか突っかかって来るゼオンに呆れた視線を送る。

「・・・・・・・・よし、行くか。」

流石に器量の小さいことをやったことに自覚があるのか申し訳程度に集が伏せたときに投げたガンランを拾って背負うと開けた風穴から出て姿を消した。

「俺も行くか。」

そういって集もゼオンの後を追って風穴から出て廊下を来た道通りに戻っていく。

すでにだいぶ先に進んだゼオンを見つけて集はそれを一瞥してそのまま目の前にあった窓から飛び降りた

「ふう‼」

着地の瞬間に風で勢いを緩和させて集はさっき転がした異世界人を探す。

「あ、いたいた。て、まだ気絶してるのか。」

転がっている異世界人を見つけると集は徐に引っ張りあげて近くにあった小屋まで運ぶと、中に投げ飛ばす。

「さてと、ここをこうして。それからこうして。はい、完成。」

異世界人に巻き付けていた砂鉄をうまく再利用して集は柱に貼り付けにする。

「さてと、悪いけど頭の中を覗かせてもらうか。そのために朱雀にこんなものを準備させたわけだしね。」

そういって集が取り出したのが特殊な魔物の角。電気の伝導率が99.9%の優れもの。

「これなら、読み取れるはずだ。」

そういって、集は角を振り上げて異世界人の頭めがけて振り下ろす。

集はそこに微弱な電気を流して異世界人の記憶を読みとっていく。

しばらく、何も喋らずに記憶を読み取ることに集中しているとゼオンの気配が近づいているのを感じた。

「ま、この分だけでも十分か。」

集が読み取った記憶には集の読み通りのものがしっかりと残されていた。


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