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第84話

「それじゃあ、片っ端から潰していくか!」

「別にいいけど派手にやりすぎるなよ。ガンランに逃げられたら目も当てられなくなる。」

「わーてるよ。ここの拠点が外れだったときは他の拠点の方に行かなきといけないんだろ?」

「他にも、潰した他の野盗の報告をギルド側にしないと無駄骨になりますし、報告したとしても確認まで少し時間がかかるじゃないですか。」

突入係であるゼオンは2人からの注意を受けてすぐに気勢をそがれてしまう。

「お前ら、俺が鼓舞してんだからもう少しは気勢良く反応しろよ。」

「そんなことしたらお前、どこまでもテンション高くしていくだろ?」

「そうです。それに私は外での見張り兼逃げ出してきた野盗の始末をしないといけないんです。そんな気配を駄々漏れになるようなことをすれば警戒されてしまいます。」

ついでだが、集の仕事は遊撃で中にもし囚われている人がいたらその保護と裏口の捜索などだ。もう1つ仕事はあるが後々わかるだろう。

「は~、仕方ない。仕切り直していくか。何人殺さないで置いた方がいい?」

「最低2人いればいろいろ聞き出せるだろう。まあ、生きている野盗の方が国に引き渡すときに高額で引き渡せるから数が多い方がいい。」

「そうか、了解した。」

そう言って鎚を担ぎ直すとゼオンが悠々と1つ目の拠点である廃坑に入っていく。集はすでに見つけてある2つ目の入り口から入る。これでこの拠点の出入り口はなくなった。あとは隠し通路さえ注意すれば大丈夫だった。

「この匂いは・・。」

誰にも遭遇せずに集が廃坑を歩いていると嫌な匂いを嗅ぎ付けた。その匂いの元であろう部屋のドアの前で集は耳を澄ませる。

中で肉の打ち合うような音と苦痛に耐えるような声。そして興奮したような息遣いが聞こえてきた。

「糞だな。」

集は小さい声で毒づくと気付かれないようにドアを開けて中の様子を確認する。

鎖に繋がれた女性が3人集の位置から確認ができ、そのうちの1人が男に覆いかぶされていた。3人は目から生気を感じらないぐらい弱っていることに気が付いた集は中に他に誰にもいないことを気配で確認して男の後ろまで気配を消して忍び寄る。

「へへへ、おい、他の女で楽しめよ。こいつは今俺が使っているんだよ。」

集が真後ろに来てようやく気付いたのか仲間だと勘違いしながら声をかけてくる。

「用があるのはお前にだよ。」

「ああ?って誰だお前は?!」

声を掛けられて集の方を見た野盗は驚きながら近くにあったナイフを取ろうとする。

その前に集は野盗の首根っこを掴んで一気に投げ飛ばす。

「ゴホッ! ゴホッ! 何しやがる!!」

「朱雀、こいつの手足の健を焼き切れ。」

野盗が何かを叫んでいるけど集はそれに耳を貸さずに腰に下げていた朱雀に命令をする。

『はい。』

武器化を解いた朱雀が中に浮いたまま翼から炎を飛ばして手足の筋を焼いていく。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

野盗が叫んでも外から援軍が来るような気配はない。集が風の結界で音が外に漏れないように調整をしているからだ。

集は朱雀が野盗の手足を焼いている間に女性の鎖を次々に切り離していく。

3人は自分が助けられたのが理解できないのか不思議そうな顔を集に向けている。それに対して集は可能な限り優しい笑みを作って助けたことを根気よく説明する。最初の方は集が嘘をついていると思っていたのか信じていないようだったが朱雀が野盗の手足を焼いているのを見てようやく信じた。

「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」

今までの反動か、助かったせいか3人は泣き崩れてお互いに抱き合う。

集はそれを見て鞄から体をふくタオルと服を渡す。盗賊を討伐する際は保護をするために必ずと言っていいほど準備されるものだ。

「落ち着いたら着替えて声をかけてくれ。俺は少しあの男と話をしてくる。」

抱き合っている3人を残して集は痛みに悶えている野盗の男に声を掛ける。

男は自分が絶体絶命な状況になるのが理解できていないのかひたすら強気に叫んでいる。

「おい!俺に手を出してただですむと思ってるのか?!」

「この状況でここまで強気で出れるこいつが心底不思議だな。」

『ヤリすぎて頭のネジが飛んでしまったのでは?』

「・・否定できそうにないな。」

「おい!聞いていゴパツ!!」

また何かをしゃべろうとするが集が腹を蹴って黙らせる

「お前がしゃべっていいのは俺の質問に答える時だけだ。」

「うるブッ!」

「ヤリすぎて言葉の意味も分からないか?俺の質問だけに答えろ。」

「・・・。」

集に胸をグリグリとねじられてついに野党が黙る。それから集が足を離すと野盗はようやく呼吸ができるようになる。

「女はこれだけか?」

「・・・・・ガッ!・・頭領のお気に入りは別室だ。」

「それは?」

「頭領の部屋の隣だ。」

「頭領の名前は?」

「・・・ギッ!わかった!しゃべるから蹴るのはやめろ!頭領の名前は・・・・!」

そんな風に野盗が黙るたびに集は蹴りを喰らわせて話を続けさせる。

「あのぅ~。」

「ん?」

後ろから気まずそうに話しかけるその女性に集は野盗を縄で縛り終えたところで振り返る。

「私たちはこの後どうなるんですか?見てわかるとおり私たちは奴隷です。」

「別に奴隷から解放してもいいぞ?不正規の奴隷の場合ギルド条約によって解放しても問題ないとなっている。」

「いえ、ここにいるのは家族に売られた正規の奴隷です。その場合、どうなりますか?」

「うーん、その場合野盗の物は討ち取った冒険者の物になる。今回は臨時のパーティーで来てるからそのメンバーで別々に引き取ることになるだろうな。」

「そう、ですか。・・・・・・・。」

「どうした。歯切れが悪いな。」

掴まっていた女性の一人が俯いて何かを決心するかのように体を構える。

「ぶしつけだとわかっているのですか。お願いがあります!」


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