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第60話

「で、今回は何の用件で来たのかな?まさか契約を忘れたわけじゃないよね?」

応接間にサンテリアたちを誘導して初っ端から吹っかけに行った集の内心は簡単に想像できるようなものだった。

「そんなに邪険にしないでよ。状況が変わったのよ。」

「なるほど、状況が変われば契約の内容も変わるのか。」

「そういう事よ。」

「じゃあ、代わりの報酬は準備できてるんだよね?」

「金貨20枚でどう?」

矢次に進んでいく会話をフェンは集の後ろで心配そうに見ていた。

注:この後は少しの間だけ副音声が入ります。

「ま、妥当な金額だろうね。(まあ、王族とかはその程度の価値しかないよね。)」

「よかったわ。お互い、納得のいく値段で。」

「それで、わざわざこんなことをして(契約を破って)ここに訪ねに来たんだから用件あるんじゃないの?(早く、用件だけ言って帰ってくれ。)」

「そうよ。例の魔王が生まれるという情報をより詳しく教えてほしいの。」

フェンはいきなりの言葉に首を傾げているのが集には気配でわかった。護衛たちは知っていたのか動揺したそぶりを見せない。

「悪いけど、それについては話すことは何もない。この前は、早く帰りたかったから提供しただけだよ。お引き取り願おうか。」

「待って!理由を聞かせて。」

元々嫌そうではあったけど王族に対するものではない態度で席を立とうとする集にサンテリアは食って掛かる。

「口止めされてるんだよ。」

「誰に?」

「情報源?に。」

「む~。」

取りつく島のない集に完全に怯んでいるサンテリアを見て護衛の近衛騎士たちは予想通りすぎてため息をつきたい雰囲気になる。

「失礼します。」

レイナの調ky・・もとい指導のおかげで理解できない会話からすぐに離脱したフェンが集とサンテリアのお茶を入れ替えて、騎士たちに配っていく。

「じゃあ、それは今日は諦めるわ。これとは別に用件もあるんだけどね。」

「それは、たぶん聞くのは俺じゃなんじゃない?」

内容を知っている様子でフェンをチラ見してそれに気づいたフェンが不思議そうに首を傾げる。

「フェン王女、あなたはジュリカ国に帰りたいですか?」

「いやです。」

完全に素の口調で即断するフェンにサンテリアたちだけじゃなく集も驚いた顔をする。

「え?え?こんな侍女の真似事をしなくても済む今まで通りの生活になるのよ?」

「最初の方は侍女なんで嫌だと思ってたけど最近はそうでもないです。楽しく感じる部分も増えてきましたしね。」

(いい感じにレイナに洗脳されてるね。)

フェンの染まり具合に集は苦笑を漏らしそうになる。サンテリアは世にも珍しいものを見る目に変わって後ろの騎士たちもフェンの王女らしくはない答えに狼狽える。

「それに、帰ったら無理やりサンザイン教国のブサ・・・奇天烈な王子と結婚させられると思いますからここに残ります。」

「ああ・・・なんとなくそれなら私も侍女を選ぶかもね。」

直接面識のあるサンテリアも出会ったときのことを思い出して顔に嫌悪感が出てきて軽い吐き気を催していた。

「仕方ないけど、今日はもう帰るわ。」

自分が納得してい待った手前強く言えなくなったサンテリアは素直に引き下がって家を出ていく。

「結局、私たちは何しに来たのかしら?」

「「収穫はありましたよ。」」

サンテリアが落ち込んだ様子で馬車の中で呟くとアリアナと俊がフォローに回る。

「何がよ?」

「少なくともあの冒険者が魔王に関する情報を持っているという事を知ることができたんですから。」

「そこからどうすればいいのよ?」

「あとは、姫様のお得意の押せ押せで吐かせることができると思います。」

俊とアリアナの粗末な言葉でもすぐに気を取り直して馬車の中で機嫌よく過ごしていった。

(普段もこれぐらい扱いやすかったらいいのにな。)

その場に他の騎士が居たら同じ感想を抱くであろうものを俊はため息をつきながら思った。


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