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第48話

「は!!」

最近、放置気味のレンは1人鍛錬に明け暮れていた。

「この、ちょこまかと!!」

相手をしているのはレイナ。新しく身内になった人だ。正直、レンはレイナにいい感情を持っていなかった。1年ぶりに再会した自分にとってすべてと言ってもいい集と一緒にいた侍従。集に頼まれて仕方なく警護をしていたが、一緒に来るなんて知りもしなかった。

最初の方は1人でナイフを素振りして仮想の敵と戦っていた時にレイナが相手を申し出てきてそれ以来よく組手まがいの訓練をしていた。それが組手まがいと言っている理由はお互いが本気で殺気をぶつけ合っているところだ。

「レンさんは強いですね。」

「あなたもよくもそんなに武器を隠し持てる。」

レンは両手にナイフを持っている。対してレイナはその手に何も持っていないように見える。

(レンさんは予想以上ですね。速さを持ち味にした攻め方もなかなか鋭いところに来るので対処がしにくい。)

(集が連れてきただけはある。どこからか取り出してくる武器は攻め辛くさせるし、何よりそれの1つ1つが使い慣れているせいか無駄な動きがない。)

レンは獣人としてのポテンシャルと初めて集に渡されたナイフという手に馴染んだ武器を、レイナは王宮に仕える前から備えていたスキル暗器によって後手に回りながらもレンの動きを制限させていた。

「今日はここまでにしましょう。」

「そうね。」

お互いに礼をして家の中へと入っていく。

パチパチパチ

「二人ともいい動きをするね~。」

「おはようございます。」

「おはよう。」

「うん、おはよう。」

2人は集にあいさつした後汗を洗い流して服を着替えて戻ってきた。

今集たちがいるのは集が買った新しい家だった。買った理由は、・・・

「メイドがいるのに家がないなんてありえない!」

という鶴の一声があったからだ。集は宿で身の周りの整理程度にしか思っていなかった。

集たちがこの世界に残るかどうかの勝負をしたのは3日前。結果から言うと集は負けていた。残り5分を切ったところで俊と葵が魔法の力押しで集の逃げ場をなくしてそこに回り込んでいた薫がその剣で集に1撃を入れた。集は魔法の力押しをし始めた時点で自棄になったのかと完全に油断していた。もしこの力押しが序盤や中盤にやっていたとしたら集は薫の行動に気が付いただろう。しかし薫の1撃は入っていた。

「うん、おいしいね。」

「ありがとうございます。」

集たちは今朝食を食べている。レイナの作ったそれを4人が囲んで食べている。

「フェンの仕事ぶりはどうだ?」

「まだまだですね。物覚えはいいと思いますけど宮廷生活しかしていないのでまだまだ先が長いと思います。」

「ねえ・・・。」

「そうか、どんなに使えなくても頑張って使えるようにしてくれよ。」

「ねえってば。」

「お任せください。それでは今後は今までの2倍は厳しくしていきますけどよろしですか?」

「ああ、い「私を無視しないで!!」さっきからどうした。」

4人、つまり集、レン、レイナ、そして新しく侍女として雇ったフェンだ。フェンは集が家を買ったのと同時に俊から押し付けられた。

(まー、ただでくれるならもらうよ精神で引き受けたけど予想以上にひどいな。)

初日にやらせた皿洗いで割った皿は13、洗濯で使えなくした服は7、掃除をして割った窓は9枚。それまでなぜ辞めさせなかったか?それはレイナの教育方針で最初に大量に失敗させてそれを覚えさせる。そしたら失敗しない方法を自然と思いつくと言っている。

「わざわざ私の前でその話をしなくていいでしょ!それにまだ厳しくなるの?!」

「「事実だから仕方がない。」」

「ムキ――!!!」

「それじゃあ、俺は工房に行ってるね。」

「はい、いつごろにお戻りになりますか。」

「とりあえず、昼飯まで作業してるよ。」

「かしこまりました。」

集が買った家には工房がある。正確に言うと作った。

(せっかく匠のスキルがあるんだ。何かしないともったいない。)

日本人のもったいない精神がさらに金を浪費させたが後悔はなかった。

パリィン!

工房に向かう途中で後ろから何かが割れる音がしたが集は苦笑して振り返らなかった。


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