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第43話

結局、今にも爆発しそうな集と俊の間に入ったのは震える体を鞭打って動いた薫だった。

流石にそれで身を引いた。

「1週間だ。1週間後に勝負をする。それまでに準備を整えときな。」

もう一つ、姫とはいつでもいいと言い置いて部屋を去って行った。

「大丈夫か?」

集が居なくなってしばらくしてから俊がしゃべる。

「初めてじゃないかな?」

「うん、集兄が怒るなんて初めて見た。」

「俺も一度しか見たことないな。」

「「え?」」

葵と薫の2人が俊の言葉に驚く。これだけで集がいつもどれだけ穏やかなのかがわかる。比較的、直情的な俊とは対照的に2人には見えていた。ギルドマスターとの交渉は舐められないようにとの威嚇だったから少しだけイラついているふりをしていた。

「ああ、あの時を見ていたから今回は比較的落ち着いていた。それでもあんま見たいもんじゃないけどな。」

葵はそれがいつなのか聞きたい好奇心に駆られたけど、聞いてはいけないことだと直感していた。薫は怒った集を見ただけでその時のことを聞く気にはなれなかった。

「じゃあ、2人はここで休むといいよ。姫様のところに行って集のこと報告したら帰ってくる。それで、集との勝負に備えよう。」

勝負、その言葉に2人が凍りつく。

(無理もないか。いくら異世界召喚の補正があるとしても相手は最高神。いやでも緊張するか。)

俊も2人の心情を理解していた。

「じゃあ、また後でな。」

俊も部屋からいなくなる。

これで部屋には葵と薫、そして今まで気配を消していた朱雀が残った。

「あなたはいいの?」

『主様に護衛と連絡係を命じられました。』

端的な言葉しか返さない。まるで話すのを拒絶するような感じだ。

やることもなくなって精神的に疲れていた2人はすぐにベットに入って眠りに落ちた。

『主様、お兄様からの連絡です。』

「ん。」

『いつでも来ていいぞ。城に来て門番に言えば通すように言ってある。だそうです。』

「ん。」

『・・・・。怒っていますか?』

「当然だ。あいつがここに残る理由も義理もないのになぜだ。」

『本当にわかりませんか?』

「ん?ああ、理解できないよ。妹ながらこの世界で命がどれだけ軽いか理解しているのか・・。」

朱雀は内心ため息をつく。

(家族と一緒に居たいではだめなのですか?)

朱雀はそれを言葉にしないで静かにそこから飛び立つ。

今、集がいるのは新しくとった宿の一室だった。手で砂鉄球を弄り、小さい指の大きさぐらいのナイフや弾丸の形に変えたりして気を逸らしていた。

「とりあえず、明日にでも城に行ってサンテリア王女にでも会いに行くか。」

ついでにレイナと護衛につけていたレンも迎いに行く算段だった。

誰もいない部屋で静かに響く独り言。

今集は今までに1回ぐらいしか感じたことがないほど怒っていた。

(はあ、兄さんがあそこで葵に賛成するなんてありえないだろ。)

集は俊か自分の考えを理解していないとは考えていなかった。俊も理解していたけど、それでも葵の意見を尊重した。結局、シスコンが炸裂しただけだった。

「勝負の準備をしないとな。」

久々に全知のスキルを使って勝負に適している情報を探す。集は勝てないような勝負は持ち出さないつもりだ。それでも死ぬ気にならないと勝てない勝負にしようとしていた。

そういって集は神界へと姿を消した。

その後、集が神界に入り下っ端の神(下級神、中級神、上級神)に無理をさせて勝負の準備を進めて行った。最高神のわがままに下っ端の神は100年分の疲労を感じた。

準備が終わり(下っ端の神にやらせて)、部屋に帰ってきた集は静かに眠っていった。


橘川 葵

14歳

クラスB

人間(異世界)

スキル 全魔法使用可能 魔法合成 天才


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