第41話
「どうやって、薫たちのこと説明するんだよ。」
「言わなければいい。」
「その発想がなかったな。」
「んん!」
「お前、神の中でもどんな位置づけなんだ?」
「下っ端から見たら尊敬の眼差しでみられる存在で他の俺と同格の神から見た場合は知らない。」
「うんう!」
「修行って何してたんだ?」
「前半は脳の改造で後半は制御の練習と魔物狩りと違う世界に遊びに行ってた。」
「うううう!」
「どうやって神獣を使い魔にしたんだ?」
「屈服させた。」
「うぬぬぬぬぬぬ!」
「話が続かない。」
「そりゃあ、後ろから死にそうになっているような声を聴いていたらこっちのテンションも下がるよ。」
行きの飛行で話すことはなくなって手持無沙汰な集たちは葵たちと話そうとしていたが予想以上に朱雀にしがみ付くのが厳しいのかしゃべる余裕が無いようで死にそうになっている。
『普通は余裕な顔をして立っている方がおかしいんですよ!』
下から朱雀が文句を言ってくる。
普通なら風に音がかき消されて消えてもいいような声でも2人と1匹にはしっかり聞こえてくる。
「どうして、余裕なのよ!」
「そんなに大声じゃなくても聞こえるぞ!」
「私たちは聞こえないのよ!」
薫が半分やけになって葵を抱えながらわめくように叫んでくる。
「なら無理するなよ!」
「聞きたいことがあるのよ!」
「今じゃなくてもいいだろ!飯の時には速度落としてゆっくりになるんだから!」
「なら、今すぐ落としてよ!お腹すいたのよ!」
「だってさ、朱雀速度を落として。」
集に言われて朱雀が普通の鳥の速度まで落としていく。
「今日は何が食いたい?」
「コロッケ。」「カレー。」「スパゲッティ―。」
全く違うものをそれぞれに作る俊。
「もうちょっと統一しろよ。」
「とか言いながらも作ってくれるのが俊よね。」
「うん、俊兄はいつも私に優しい。」
「俺には大して優しくない。」
「シスコンね。」
「シスコンだな。」
「違う。妹を家族を大事にして何が悪い。」
速度を落として余裕で飯を食っている4人。
『あと少しで着きますよ。』
「だってさ。」
朱雀から到着の報告を聞いて俊がため息をつく。
「なんか、ため息増えてない?」
「これからお前を姫様のところまで案内してさらに葵たちの今後のことを考えないといけないし、休んでいた分の仕事もしないといけない。他にもいろいろ問題があってため息をつかないやつがいるか?」
「まー、頑張れ!」
「最初のやつはお前も関係してるぞ?」
一気に残った飯を食いきって俊と集が話す。集は自分も関係していることに目を逸らしたくなった。
「あ、それと葵たちはいつ向こうに返す?」
皆が最初から気にしていたことを今思いついたかのように出た呟きに3人の動きが止まる。
「もしかして、そのこと考えてなかった?」
「え?あ、ははは。」
葵に睨まれて自分の失言に気付いた集は目を逸らす。乾いたような笑い方をして3人がいない方に体ごと向けて視線から逃げる。
「は~、なんとなく話題に出ないから忘れてるんじゃないかと薄々とは感じていたけど本当に忘れてるなんて・・。」
薫の呆れた声に集は肩を縮ませ、
「集兄は相変わらずだね。」
葵の言葉を聞いてえっと振り返り、
「このアホんだら!」
「よっしゃ!兄さん戦争だ!アホ言う奴があほなんだよ!」
俊の言葉に逆ギレ?した。
そこから到着まで空の上で数多の暴言が飛び交った。
レイナ
21歳
クラス未加入
人間
女
スキル 暗器使い