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第39話

「うそ、なんで?」

葵が呟くのが聞こえる。集は一瞬それに寒気を感じる。

(気付かれたか?)

顔などは隠しているけど声は全くの素の状態だったからばれる可能性もあった。

「わ、私たちは召喚された勇者と会話をしに来ただけだ。」

「そこで死んだのも勇者よ?」

薫が剣を死んだ真と孝昌を指しながら言う。葵は疑わしい目をしながら集と俊を交互に見ている。

「さっきも言ったが、こいつらはモブキャラだ。お前たちもわかっていただろ?才能がなかったことに。」

「「っ!」」

「こいつらはせいぜい将軍程度の力しかないよ。勇者には程遠い。」

理解していた。葵も薫もそれは理解していた。どう考えてもスキルも身体能力も劣っていた。それを公爵などの力を借りて武器で補っていた。それで葵たちと均衡をもたらしていた。

「一緒に来てくれないか?」

「人殺しと?」

「これは戦争だぞ?」

(っ!ディンペンド国から来てるの?)

集の一言に一気に薫が思案する。

「行くよ、私は。」

「なっ!葵ちゃん、いいの?!」

「うん、確認したいの。」

「え?」

(やっぱりばれたか。でも、好都合か。)

後ろで俊が安心したかのようにため息をつくのを聞きながら話を進めていく。

「なら、こちらに来い。連れてってやるよ。」

「うん。」

「ちょっと、なら私も行くわよ。葵ちゃんを1人にするわけにはいかないわ。」

「そ。」

集は満足したように反応して朱雀を鞘ごと腰から抜く。

「朱雀、飛ぶぞ。」

『はい。乗ってください。』

朱雀が4人を乗せれられる大きさまでに大きくなる。

「し、神獣。」

駆けつけていた魔道師らしき人が呟く。そこから波のように周りに広がっていく。それに気づいた兵士たちが腰を抜かして朱雀を指さす。

「神獣だ~~~!!!」

腰を抜かして動けなくなった兵士たちを置いて他の兵士たちが一目散に逃げていく。隊長らしき人物が必死に抑えようとするが、本人も混乱していてまともな伝令を出せていなかった。

「さっさと行こうか。」

集は先に朱雀に乗って他の3人を催促する。俊は最後に乗るつもりなのか葵と薫の手伝いをしている。

最後に俊がなると朱雀が羽ばたく。

『どちらまで?』

「とりあえず、この街から離れて姿隠せる場所に行って。」

『じゃあ、ティカトスの森がいいかもしれませんね。』

「じゃ、そこで。」

朱雀が森に向けて動き出す。集の後ろの方で文句が聞こえてくるが朱雀にしがみ付くのに必死なのかよく聞こえない。

「接触した後に、違う場所で落ち合うんじゃないのか?」

「なんか、こっちの方が手っ取り早いと思ったから。」

俊が小声で集に聞いてくる。やはり今回も平然としている2人に前回の2倍のスピードを出して驚かそうとしてもまったく反応しなかった。

(これなら!)

やけになった朱雀がどんどんスピードを上げて最高速まで達していた。音速を突破していた。そこでようやく俊と集が立っているのにふらつき始めて二人とも腰を下ろす。朱雀はそれを喜んで目的地のティカトスの森へと到着した。

当然、葵と薫はGに耐えられなくて気絶している。

『はあ、はあ、やった。』

なぜか声に出して喜んだ朱雀を不思議に思いながら気絶している2人を下ろした。そして、そのまま疲れ切っていた朱雀は小さくなって丸くなって寝てしまった。

「不死鳥もこれじゃあ名前負けじゃないか?」

「疲労は感じているんだろう。それよりここは安全なのか?」

「ああ、街から3時間しか移動してないけど朱雀も本気で移動したみたいだからかなり離れてるよ。」

「そうじゃなくて、魔物とかはいいのか?」

「無理無理、ここら辺一帯はもともと朱雀の縄張りだよ。滅多に魔物たちは潜り込まないよ。」

安心したのか、俊は気絶している2人を立て掛けた木とは反対に行って座り込んで眠ってしまった。

「え、寝るの?」

1人手持ち無沙汰になった集は暇つぶしに神界へと消えていく。

「よう、最近どうだ?」

「ん、そこそこかな。」

神界に入った瞬間、地皇が出迎える。

「他のやつらは?」

「まだ、別々の世界で楽しんでいるみたいだな。」

「へ~。なんでこっちいるの?」

「俺のいた世界ではもう夜だからな。適当に他の世界を見に来た。」

「全知使えよ。」

「あれは頭が痛くなるから嫌いだ。」

「確かに。」

全知を使えば何でも分かる。その分、膨大な情報量に脳が追いつかない場合もある。一度そのせいで集は寝込んだこともあった。

「なあ、」

「ん~。」

近くにあった椅子に座りながら地皇の言葉に適当に聞き流しながらお茶を啜る。

余談だがここにあるものは基本的にアイテールが趣味で作ったものが多い。

「女って意味わからないよな。」

「いきなりどうした?」

「いや、少し向こうの世界で女性関係のトラブルに巻き込まれてな。」

「なるほど、俺たちには一生わからないアレか。」

「ああ、アレだ。」

2人の神はため息をつきながら脱力する。

「「女心ってホントわけわからん。」」

全男性(オカマを除く)がわからないことは全知を使ったとしてもまったく理解できないものだった。

それからしばらく女心についての議論から始まり、女性のタイプから女性に着せるコスプレまで語ってから集は立ち上がった。

「俺の方の世界で用事ができたからそろそろ行くよ。」

「おう、なかなかいい時間だったぞ。そうだ、アイテールから伝言だ。「面白そうだから、お前たちが殺したできそこないの勇者2人を生き返らせたぞ。」らしいぞ。気を付けろ。」


レン

16歳

白虎族(眷族)

スキル 獣化・隠密


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