第38話
時を1時間ほど遡る。
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「ようやく着いたか。腰が痛え。」
「横になっていればよかったのに。」
「あんなに風が強いと横になる余裕がねえよ。ていうか、なんで横になれたんだよ。」
「え?風をうまく利用した。」
普通なら高速で空を飛ぶ朱雀にしがみ付くことも困難の状態でも俊は胡坐をかいて座り、集は横になって寝ていた。
『ありえない、ありえない、ありえない・・・・・。』
朱雀は移動中の出来事だけで精神的 (2人の当然のようにありえないことをするところ) に追い込まれて1人?ブツブツぼやいている。
「朱雀は目立つから武器化しといて、それでどうやって勇―者―様に会いに行く?」
武器化した朱雀を取り腰に差して、勇者様というところを露骨に強調して集は俊に質問する。
「とりあえず、変装するか。」
俊は創造魔法でフルアーマーの鎧を纏う。
「え?俺の分は?」
「これ。」
そういって渡してきたのは白い仮面に白い豪華などっかの貴族が着てそうな服だった。
「なにこれ?趣味悪。」
「お前にはピッタリだろ。」
「ないよりいいか。」
仕方なく服装を着替えて王城へと足を向ける。
「基本的には俺が話進めるからね。俺の方が理解してるだろうしね。」
「異論はないけど、どういう風に進めるつもりだ?」
「ああ、とりあえず王城で一回接触した後にまた違う場所で落ち合えないか聞いてみるつもりだよ。」
「それじゃあ、どうやって接触するんだ?」
「ん?決まってんじゃん。」
道中会話をして進んでいた集と俊は王城の城壁の前で立ち止まった。
「真正面から乗り込むんだよ!!」
「貴様らなにをおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
門の前で会話していた集たちに声をかけようとした門番が奇声を上げて宙を飛ぶ。
集が近づいてきた門番を投げ飛ばしたんだ。
そのまま門にぶつかり嫌な音をたてて門を吹き飛ばす。
「お前はバカか?」
そのまま集は門をくぐって中へと入ると後ろからついてきていた俊に咎められる。
「いやいや、わざわざ探すのじゃなくて向こうから来てもらう方が楽じゃない?」
「お前のスキルがあれば何の問題もないじゃないか。」
「それに、」
「それに?」
「こうすれば接触してもあいつらが怪しまれる心配はないじゃん。」
「・・・・・過保護だな。」
「兄さんには負けるよ。」
2人が話している間にも周りを兵士たちが取り囲んでいく。
「貴様ら!大人しくしていろ!!」
隊長らしき人物が集たちに牽制の声をあげる。
「悪いことしている自覚があって、大人しくしろって言われて大人しくはならないよね~。」
「逆に大人しくなる奴がいるのかな!」
手始めとばかりに俊は魔法で兵士たちを薙ぎ倒していく。
「えぐいね。風の魔法でえぐってるのか。」
「お前の方がえぐいことできるだろ?」
「まあね。」
俊の攻撃が引き金になって始まった戦闘に適当に相手して召喚者たちを待つ集と俊。
近づいてきた兵士を朱雀で斬ったり、雷で感電させたり、風でまとめて壁に激突させたり、氷の魔法で適当に氷漬けにしたりなど、いろいろな方法であしらっていった。
「来たよ、兄さん。」
「そうみたいだな。」
奥の方から明らかにこの世界の人ではないような黒髪の4人が近づいてくる。
「あなた達は何者?」
(ここでバカ正直に本名言う必要ないか・・。)
「俺は、ゼウス。召喚された異世界人たちを見に来ただけだ。」
一応、これも本名だが相手が理解できないから別に名乗っても問題ないだろうと考えて集は名乗る。打ち合わせ通りに俊は傍観する状態で待っている。
後ろから聞こえるため息を聞き流して集は前を見る。
すると、誰かが叫びながら駆け抜けて奥から魔法が飛んでくる。
「「うるせえ、モブキャラには用はないんだよ。」」
集と俊は冷静に対処する。俊は剣を作って逆に斬り殺し、集はとりあえず風を使って盾を作ってポッケから取り出した砂鉄球で超電磁砲を放った。
レン
16歳
白虎族(眷族)
女
スキル 獣化・隠密