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第32話

すいません

遅れました

ジュリカ国最高機密室。

そのさらに奥の部屋で勇者召喚の儀式は行われていた。

ジュリカ国の魔法士30人が円陣を組んで呪文を唱えている。

既に詠唱を初めて1時間は経っている。ほとんどの魔法士は顔を蒼白にして今にも倒れそうになっている。

ピカっ!

魔法陣が急に光り始めてその場にいる全員が目を塞いだ。

「なんだ!成功したのか!?誰か確認をしろ!」

大声で他の人間に命令しているのは現ジュリカ国国王だった。隣には国王の息子や大臣たちが集まっていた。

「成功していたら一気に戦線を押し返すことが可能になるかもしれませんね、父上!」

興奮した様子の息子の発言に頷いて魔法陣の中心を見つめる。

(すぐに戦力になるなど楽観はしていない。それでも力の持つものを導くように仕組んであるはずだ。)

国王は周りに気付かれない程度に拳を強く握っていた。国王も今回の儀式にはかなり期待していた。一度召喚の儀式を使ったときは何の使い道のない少年を召喚した。国王はそれを反省して強いものを召喚できるようにと改造を言い渡した。その結果が今目の前で出る。

光が収まっていって人がいるのがぼんやりとだけ見える。

「何が起きているんだ!」

「ちょっ。マジでやばくね?」

「・・・っ!」

「大丈夫よ、私が付いてるわ。」

2つの男の声に女の声。合計4人の声が響いている。

(これは成功したのか?なぜか4人もの人間がいるがそれだけアタリの確立が上がるからいいだろう。)

「よくぞ、来た。4人の勇者たちよ。私はこの世界の一国の王、フェリエスト=G=ジュリカである。私の国のためにも力を貸してくれ。」

「いいぜ!こういうのを期待してたぜ!」

「マジキタ!俺もこれでハーレム作れるぜ!」

「いやだ。」

「断ります。」

男たちは興奮しながら快諾し女たちはきっぱりと断った。

「残念ながら女勇者よ、拒否権はない。なぜなら貴様らが帰るには私の協力が必要になるからだ。」

女勇者たちは恨めしそうに王を睨みつける。

「そんなに睨むでない。できる限りの支援はする。それとすぐに戦場に出てもらうわけではない。半年ほど訓練して少しずつ実践に慣れてもらうつもりで。」

「半年!?そんなすぐにできるわけないじゃない。」

「できる。貴様らは異世界人だからな。」

何の才能もない前回の勇者でさえ1ヶ月でそこらの騎士並みに戦えるようになったほどだ。才能の持っている4人の勇者がどれだけ強くなるか事情を知っている者たちは期待していた。

(これで問題が1つ片付いた。まだほかにもあるが、いい加減フェンも見つからないのか?出てってから2ヶ月は経つぞ。)

一方フェンは・・・。

「ねえ、集ってなんでそんなにすごいの~?」

「天才だから。」

「天才って、どうやったらなれるのよ~。」

「神様に土下座でもして頼めば?」

「どうやったら神様に会えるのよ~?」

「知らん。」

・・・酔っぱらって集に絡んでいた。ちなみにレイナは酔いつぶれて寝てしまっている。

(うざいな~。)

途中立ち寄った町で休憩がてら酒場に行くとすでに飲んでいたレイナとフェンを見つけた集は気付かれないように離れたところに行こうとしたがレイナに見つかり座らせられている。

ちなみにフェンは16歳だがこの世界では成人は15歳からになっている。よって問題ない。

問題点はそこじゃなく酔っぱらったフェンが絡んでくることだ。

(ギルドに行って旅費を稼いでいる男に対してこの仕打ちはなんだ!?)

既に路銀が尽きかけで集が頑張って稼いでいる。今日もそのため酒場で疲れを少しでも誤魔化そうとした結果がこれだった。

結局そのままフェンに酒を飲ませて酔いつぶして2人を抱えて宿に戻った。

(そもそも、金がないのはこいつらが酒飲むからじゃねえか!)

自分もかなり飲んではいるけど自腹だから関係ないと言いたげに憤っていた。

これからは自分が金の管理をしようと決心した時だった・・。

集の目がティカトスの森がある方向に向けられる。すなわちジュリカ国がある方向へと。

「これ以上、問題ごとは増やさないでくれよ。」

明らかに面倒なことになるだろうに必死に自分が巻き込まれないように努力することを決心した。

その日だけで集は2つの決心をする結果になった。


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