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第22話

気まずい空気になっていた。

今、集たちはさっきの小さな少女と向かい合って座っていた。

「(兄さん、この空気どうにかしてよ!)」

「(無理に決まってるだろ!そもそも、お前も原因じゃないか!)」

ソお!こんな空気になったのは5分前に遡る・・・。


「にゃは!」

満面の笑みで部屋に入ってきた少女は普通に向かい側のソファに座る。

「おい、ここは子供の養育施設か何かか?」

「しらない。もしかしたら、小さい子が迷い込んだのかもよ。」

俊や集が「子供」「小さい子」など言う度に少女の肩が震える。

「にゃあ!小さいっていうなー!これでもギルドマスターじゃー!」

「「「ないない。」」」

集たちは最初から取り合おうとせずにそのまま「小さい」を連呼する。

5分ぐらいいじめていたら本格的に自称ギルドマスタ―(笑)が泣き始めた。

「グス、私は本当に、グス、ギルドマスターなのじゃー。グス。」

最初ほど怒る元気をなくしており、すでに声が消えそうになっている。

そんな自称ギルドマスターに負い目を感じ始めた集たちは視線だけで会話を始める。

(どうすんだよ!泣き始めたぞ!!集、こんな時はお前の出番だ!)

(思いっきり俺に丸投げしようとしているのがバレバレだよ!こういう時は、同じ女子で大きさも近いレンが頑張れ!)

(私は何も言ってないから、関係ないです。)

そんな感じで、ほとんど兄弟の間で議論?がされた結果、集がおし負けた。

「え~と、・・・。そうだね、君はギルドマスターだね~。」

結果的に小さい子をなだめる時のような口調になって余計に自称ギルドマスターを泣かせてしまった。集は他の二人から冷たい視線を受けて小さい声で謝るしかできなかった。


そんなことがあって、自称ギルドマスターが落ち着いたのを待っていたのはよかったのだがなかなか自称ギルドマスターが話を切り出さない。人前で泣いてしまったことを恥じて会話が始まらない。そんな雰囲気に触発されて、おのずと気まずい空気になってしまった。

「もう一度言うが私がギルドマスターじゃ。」

今度は誰も口出しせずに話は聞く。

とりあえず、長々と今回の件の説明をされて、レンは眠って俺の膝の上に頭を乗せている。

要約すると、集たちが魔物の軍勢を倒したことで英雄のレベルを超えて危険人物指定されているとのことだ。しかも、森を焼いたのも同一犯じゃないのかという事らしい。極めつけに、魔物たちは死体のかけらも見つけることができなかったらしい。そのせいでかなり疑われている。

(あながち、間違えじゃないけど。危険人物に指定されるのは心外だな~。)

俊がチラチラ集を見て、打開策を求めてくる。

集は肩を竦めてどうしようもないことを伝える。

「一応伝えとくが、この部屋で嘘をつくことはできぬ。部屋全体に嘘を見抜く魔法がかけられており、嘘ついたら部屋に居る者に伝えるようになっておる。」

観念した集たちは真実をレンに言わせた。

最初は、自分たちで言おうとしたけどかなり抑え目で言っていたら嘘発見魔法に引っかかってすべてをレンに託した。

「う~む、そうであったか。・・・・。ところで、貴様の方の鎖がないのだけれども机の上にあるのがそうか?」

ギルドマスターが俊が外した鎖を見て、不思議そうに聞いてくる。

「そうだけど、どうかしたか?」

俊がなんでもないように返して、集はため息を出す。

(だから、外すなって言ったんだよ。)

注:言ってません

集も、いい加減煩わしくなってきた鎖を力技で壊す。

その際、弾け飛んだ鎖の破片がソファに突き刺さる。

「うひゃあ!な、何をしておるのじゃ!」

(ちっ、俺もこいつも目の前で壊した方が面白かったかもな…)

俊の鎖を見て逃避していた思考を集のおかげ?で取り戻すことができたギルドマスターはわめき散らす。

「そ、それはオーガどもを縛る際に使われる鎖じゃぞ!ににに、人間が切れる物じゃないジョ!」

あまりの怒りに舌を噛んで少しおとなしくなったギルドマスターを見て3人は微笑む。まるでそれを待っていたかのように・・・。

(うーむ、これだけの力を持っていたら危険人物指定されるのもうなずけるの~。)

ギルドマスターは、自分のことをニヤニヤして見守っている2人と1人のことを改めて見渡す。

これから自分の伝える事柄に対してどういう反応を返すのか全く見当もついていなかった。


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