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第14話

「で、兄さん。どうやったら森の半分を燃やせるのかな?」

遅めの昼食を食べて、その店で兄さんを問い詰めた。

「ははは、まさか打った炎が燃え移ってあそこまで燃えてしまったよ。」

「意味が分からねえ!燃え移った時点で消す努力しろよ!」

「あまりに火の勢いが強かったから呆然としちゃったよ。」

兄さんの答えに呆れる。未だ店で食後の紅茶らしきものを飲んでいた。

周りには兄さんが張った防音の結界があり、どんなに騒いでも文句は言われない。

「そもそも、この数時間でどれだけ魔法覚えてるんだよ!」

既に初級から上級までかなりの量を使えるようになっている。属性魔法をはじめ、無属性魔法から回復魔法などすべてのジャンルを制覇していた。

「いや、魔法力無限がある以上俺にとって魔法は暗記するだけでいいんだよ。そこで全詠唱から短詠唱、最後に無詠唱まで極めていくだけだ。」

「・・・異常。」

レンの言うとおりだ。おかしいよ。

「了解。・・・で、結局兄さんの打った魔法はどれくらいの威力だったの?」

あからさまに目を逸らす兄さん。深いため息をついて兄さんを睨む。

「うっ・・・。い、一応上級。」

その瞬間俺の中で何かが切れる音がした。

「ばっかじゃねえの‼ふざけてんの?何最初っから上級魔法ぶっ放してるわけ?世界中に宣誓布告でもしたいわけ?俺たちギルドに目を付けられてるかも知れないんだぞ?死ね!このボケ屑能無し野郎‼」

いきなりキレた俺に反応できていない兄さんを放置して結界を打ち消す。ガラスが割れるような音が小さくなって周りの音が復活する。

「会計よろしく。」

罰として今回の飯代は兄さんに払わせた。

この飯代でチャラということを理解したらしく、素直に払った。

「お前も甘いやつだな。」

「兄さんには負ける自信があるよ。」

そのまま、ギルドに向かって今どんな状況にあるのかを確認しに行った。

「・・・これはひどい。」

改めて来たギルドではほとんどの冒険者がいなくなっていた。心なしかギルドの奥の役員が騒がしく感じる。

俺たちは、俺がさっき行った受付の人に話を聞きに行った。

「予想以上に数か少ないですね。」

「はい、ギルドが出した依頼で森林火災の原因の究明で出かけています。」

予想通りの答えに嫌な予感がする。

「それってどんな依頼ですか?」

受付が取り出したのは一枚の依頼書。

そこには、今日中に最も有力な成果を上げたものに100000Gという破格の値段だった。

「今からじゃあ間に合いませんね。」

有力な成果が上がらないように願いながら話を続ける。

「それにしても、外が騒がしくなってきましたねー。」

受付の人が扉の方に視線を送り呟く。

「そうですね。何かあったなd「モンスターだ!」は?」

「「はい?」」

俺も受付の人も兄さんも間抜けた声を出す。

「だから、大量のモンスターがこの村を目指して進んでいるんだよ!」

「「「「・・・・」」」」

うん、嫌なことが実現したよ。たぶん、森が燃えたことでそこにいたモンスターが行き場をなくして道に沿って行ったらこの町があったんだろう。

「急いで冒険者を集めてくれ!」

男の言葉に全員がハッとする。

「す、すいません。只今他の人たちは出かけていて今はこの3人しかいません。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

長い沈黙。明らかに絶望している。

「それでもいいから早く来てくれ!」

言われるままに俺たちは急いで男の後ろをついていく。

「まったく、あの屑どもはこういう時にいないでどうするんだよ・・・」

いやー、本音がだだ漏れですね。少しはこっちに聞こえないように言えよ!

ギルドの方向で鐘が何度もなっている。少しうるさい。

「ご主人様、そろそろ危ない。」

さすが獣人‼魔物のにおいを嗅ぎ当てたらしい。それも相当濃いやつを。俺たちも町の門の向こうから大量の魔物の気配を感じて危機感を覚えていた。

「門に近づく前にケリを付けないとな。」

全く同じ考えをしていた兄さんに声を変えられて静かに頷く。

町の中に入られたら町を巻き込むような広範囲魔法は使えないし、いちいち飛び回って処理していたら被害が大きくなる。そんな面倒なことするより一纏めに吹き飛ばした方が効率がいい。

「は~。誰のせいでこんなことになったんだろうか・・・。」

レンと俺は兄さんを睨み、それに気づいた兄さんは苦笑して走って逃げて行った。


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