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やっぱり、ここはCanyonで 消失ショート6

作者: 羽生河四ノ

あらすじにほとんど書いてしまったので、別に何もないです。

 谷にも色々ある。種類が、という意味でだ。でもここではキャニオンにしようと思う。 私も彼もグランドなんとか~に夢とか希望を夢想した世代なので、まあそうなるのは仕方ないことだと思う。

 それにしても谷、谷とは不思議なものだと思う。谷には何か再生のメッセージやシンパシーでもあるのだろうか、と。・・・いや、別に何か心理学的な話がしたいわけではない。もっとラフな話だ。安心していただいていい。

 例えば・・・。例えばある漫画のあるキャラクターがあるどこかの谷で敵と戦って谷に落ちて死んだとする。

 さあ、どうだろうか?もうわかるでしょう?

 そう。そのキャラクターは100%生き返る。100%だ。オレンジジュースみたいにだ。そいつは、何らアドバンテージも無く、ハンデも無く、完全な状態でまた仲間に復帰するだろう。何だったら、強くすらなっているかもしれない。

 まあ、この話は元々は彼にそう教えられて、「ああ、そうなんだ」と思っただけなのだけども・・・。言われてみればそうだなぁ。と。

 つまるところ私と彼はそういう世代を生きてきたのだ。そういう世代に生きてきた私達が、「そうか、谷には再生のスピリットがあるんだ!」と考え、そう思い込んでしまってもそれは何も不思議では無い筈だ。

 私は今そのことについて、谷について日夜考えている。

 そもそも私がこんなに谷について考え出したのには理由がある。それは次のような事だ。

 ある休日のこと、私の彼がだらけた昼下がりにおかしな事を私に聞いてきたのだ。

 

 「男女ってなんだろうか?」


 暇過ぎると人間はバカになる。私はその時の彼のことをそう思った。

 しかもそんなの私にもわかるわけない。それに何故に私にそんな事を聞いてくるのか?そう訝しんだりもしたが、優しい、思いやりがある、等、近所でも評判の私は彼のその質問に答えてあげることにした。もちろんその時の私が真実を教えることは出来ない。何かうまいことをいって煙に巻こうと思っていた。


 「男女はお互いに谷の右岸と左岸にいるんじゃないかしら?もちろん間は奈落。ある程度近づくことはできるけど、決して分かり合うことは出来ない。それが男女」

 「そうなんだ・・・」


 私は彼から聞いた谷の話をうまく代用したつもりで、そう彼に話して聞かせた。そして彼は私のその説明に一応納得したようだった。私は内心で突っ込まれる事にビビリながら、洗濯物をたたむ作業を再開した。彼はその後もしばらく横になっていたが、おもむろに起きだしてテレビをつけて、テトリスをやり始めた。谷を作って長いバーで消す作業を何回も何回も続けていた。

 その次の日、私の携帯電話に一通のメールが入った。文面はこうだ。


 「渓谷に行ってきます。夜には帰ります」


 そのまま彼は帰らなかった。もう三ヶ月になるだろうか。彼がどうなったのか?それはまだ分からない。それよりも私は彼が渓谷に何をしに行ったのかの方が気になる。男女の違いを確かめにいったのだとしたら面白いし、再生のために行ったのだとしてもそれは不思議なことでは無い。しかしどっちにしてもいつごろ彼が帰ってくるのか。私は今それを心配している。

どうでもいいですが、消失ショートは大体3~4ページでという枷を設けています。どうでもいいですね。

テトリスの事が書けてよかったです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 優しく思いやりあると評判なのですね、主人公は。自分でいっちゃうところが面白いです。 男女の関係を岸谷に喩える表現が巧いです。左右に別れた岸なのですね。壮大で、スピリチュアルな発想が好き。…
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