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悪役令嬢に転生したので魔王次男を攻略します  作者: Reine


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1/4

転生

私の世界は、生まれたときからずっと灰色だった。


自己紹介すらまともにできず、人と目が合っただけですぐ俯く、どうしようもなく臆病な少女。

それが、転生する前の私だ。


幼い頃からずっとそうだ。

いじめられても泣けない、仲間はずれにされても言い返せない、

クラスでは完全に透明人間扱い。


成績も普通、見た目も普通、家庭も普通。

ただ、地味で、臆病で、目立たない。

そんな私が生きている世界は、息苦しくて、冷たくて、居場所がなかった。


人混みが怖い。

視線が怖い。

話しかけられるのも怖い。


休日はずっと家に引きこもり、カーテンを閉めて、

ただパソコンの画面にしがみついていた。


そこで出会ったのが、乙女ゲーム『魔界貴族戦記』だ。


他の攻略キャラはみんなイケメンで、人気もあって、

プレイヤーたちはみんなそちらに夢中だった。


でも、私は絶対にカレン・ロスタロスしか見ていなかった。


魔王の次男。

銀髪に赤い瞳の、魔界の隅っこに追いやられた少年。


ゲーム内では「不吉」「怪しい」「口のきけないゴミ」

そんな扱いを受け、誰からも相手にされない。

イベントもなく、セリフもほとんどない、ただの端役。


それなのに、私は一目で心を奪われた。


画面の向こうで、ひっそりと座っている姿。

誰からも愛されず、一人で孤独に耐えている様子。

それを見たとき、胸が締め付けられるように痛かった。


「あなたは、悪くない」

「怖くなんかない」

「私は、あなたが好き」


画面に向かって、心の中で何度もそう呟いた。

でも、現実の私は臆病すぎて、

コメント欄に一言書き込む勇気すらなかった。


ただ、ただ、遠くから見つめるだけ。

それが、私にできる精いっぱいの恋だった。


カレンのことを想うだけで、

暗かった私の毎日が、少しだけ明るくなった。

彼は、私の世界のたった一つの光だった。


「もし勇気があったら」

「もし強くなれたら」

「もし、あなたのそばに行けたら……」


そんな願いを抱きながら、私は生きていた。


そして、あの日が来た。


雨の日。

暗い道。

ただコンビニの画面にカレンの姿が映ったと思った瞬間。


激しいブレーキ音と、衝撃。


意識が遠くなっていく中、

ただ一つ、心から強く願った。


――来世があるなら、絶対に臆病な私じゃなくなる。

――強く、輝かしく、大胆に生きる。

――そして、絶対にカレンのそばに行く。

――誰よりも先に、あなたに「好き」と伝える。


その想いだけが、魂に焼きついていた。


――


温かい。

柔らかい。

何も怖くない。


意識が戻ったとき、私はベビーベッドの中にいた。

華やかな部屋、魔力の充満、優雅なメイドたち。


声が聞こえる。


「クロディア家のお嬢様です!」

「生まれながらの魔力……これは鳳傲天! 魔界最強クラスの才能です!」


私は目を見開いた。


分かった。

私は……転生した。


ゲームの世界に。

悪役令嬢クロディア・フォン・エレグナーとして。


家柄も、権力も、才能も、すべてが最強。

誰もが私を恐れ、慕う、そんな存在になった。


前世のような臆病者じゃない。

もう、隠れたり、俯いたりしない。


私は静かに、心の中で呟いた。


「カレン・ロスタロス」

「私が、迎えに来たよ」


前世、届かなかった想い。

届かなかった恋。

届かなかった温もり。


すべて、この世界で叶えてあげる。


臆病だった私はもういない。

ここにいるのは、

あなたを守るため、

あなたを好きだと言うため、

あなたを幸せにするために生まれ変わった、

クロディア・フォン・エレグナーだ。


絶対に、あなたを振り向かせる。

どこまでも追いかける。

この世界で、絶対に――

あなたを私のものにする。

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