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禁忌魔術、マニュアル化されました ―あなたの問題は、仕様外です―  作者: 青谷 静


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『禁忌魔術 使用標準手順書(暫定第4.6版)』

※これは物語本文ではありません。

本作世界で実際に運用されている

「禁忌魔術運用マニュアル」の一部です。

読まなくても物語は進みます。

■第1章 総則

・第1条(目的)


本手順書は、従来「禁忌」とされてきた魔術の一部を、安全かつ再現性をもって運用するための最低限の基準を定めるものである。

※本手順書は完全な安全を保証するものではない。


・第2条(禁忌魔術の定義)


本手順書における「禁忌魔術」とは、以下のいずれかに該当する魔術を指す。


発動条件が使用者の主観に依存するもの

効果範囲が事後にしか確定しないもの

成功・失敗の判定が第三者から確認できないもの

使用後に「だいたい成功した」という報告が頻発するもの


■第2章 使用前確認事項

・第5条(使用者の心身状態)


使用者は、以下の状態にある場合、禁忌魔術を使用してはならない。


寝不足

強い空腹

強い満腹

強い怒り

強い達成感

「今回はいける気がする」という確信

※特に最後の項目については、過去の事故の73%が該当している。


・第6条(使用環境の確認)


禁忌魔術は、以下の環境下では使用を控えること。


雨天

強風

無風

静かすぎる場所

ざわつきすぎている場所

湿度が高すぎる場合


■第3章 使用手順

・第10条(基本姿勢)


使用者は、背筋を伸ばし、深呼吸を3回行うこと。

ただし、4回以上行った場合は中止すること。


・第11条(詠唱)


詠唱文は、定められた文言を一語一句正確に唱えること

噛んだ場合は、最初からやり直すこと

噛んだことに気づかなかった場合は、そのまま進行してよい

※後者の場合、結果について責任を問わない。


・第12条(発動確認)


発動時、以下のいずれかが確認できた場合、「概ね成功」とみなす。

「概ね成功」の判断は、現場裁量とする


光った

音がした

空気が変わった気がした

周囲の誰かが「おお」と言った


■第4章 使用後対応

・第15条(使用後の異常)


使用後、以下の症状が発生した場合は、速やかに上長へ報告すること。


軽度の時間ずれ

感情の変化

記憶の順序の入れ替わり

自分の影が半拍遅れる

魔術名が思い出せない

※上記は軽微な異常に分類される。


・第16条(重大インシデント)


以下に該当する場合は、直ちに使用を中止し、現場を封鎖すること。


使用者が増えた

使用前と使用後で曜日が違う

過去の自分と目が合った

※発動は、原則不要とする


■第5章 禁止事項

・第20条(禁止行為)


以下の行為を固く禁じる。


マニュアルを読まずに使用すること

マニュアルを読んだ上で「分かった気になる」こと

マニュアルを現場判断で解釈すること

マニュアルの矛盾を指摘すること


■第6章 教育

・第21条 講習会受講を推奨


■付則

改訂履歴(抜粋)


第3.1版:第12条に「周囲の誰かが『おお』と言った」を追加

第3.4版:第6条に「無風」を追加

第3.7版:第16条に「マニュアルの記載が増えている」を追加

第3.8版:第12条注釈に「「概ね成功」の判断は、現場裁量とする」を追加

第3.9版:第6条に「湿度が高すぎる場合」を追加

第4.0版:全体構成見直し

第4.6版:第6章に教育を追加 第21条に「講習会受講を推奨」を追加

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