第40話 未完成のまま運用中
その書類は、回ってきただけだった。
特別な決裁も、
特別な確認も無い。
運用状況確認
第七運用課
現行体制:継続
「……継続だって」
シラベが言う。
「うん」
アオイは、端末を見たまま答えた。
「変更なし?」
「なし」
「増員も?」
「なし」
「減員も?」
「……なし」
シラベは、少しだけ笑った。
「便利な部署になったね」
「便利?」
「無くす理由が無い」
「増やす理由も無い」
「……うん」
午前中。
問い合わせが、一件来た。
自分のケースは、
どこにも当てはまりませんでした。
アオイは、短く返信を書く。
確認しました。
内容は受領しています。
送信。
「それで終わり?」
「終わり」
「未完成だね」
「……最初から」
アオイは言った。
「完成させる仕事じゃない」
午後。
カンザキが、少しだけ顔を出した。
「正式な定義は」
苦笑しながら言う。
「やっぱり、見送りです」
「はい」
「正直」
カンザキは続ける。
「書けないものは、書けませんね」
「……はい」
「ただ」
少し間を置いて。
「無いことには、できなかった」
それだけ言って、去っていった。
夜。
個人メモを開く。
・第七運用課:継続
・役割:未定義
・だが、不要ではない
最後に一行。
・未完成のまま、運用中
端末を閉じる。
外は、今日も静かだった。
正しく運用された世界。
その中で、
完成しなかった仕組みだけが、
何事もなく続いている。
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