第39話 それでも、仕事です
その質問は、
少しだけ遅れて届いた。
第七運用課の対応について
それは、業務として成立していますか
送り主は、外部監査部門だった。
「……来たね」
シラベが、画面を覗く。
「来た」
アオイは、端末を持ち直した。
「どう答える?」
アオイは、すぐには答えなかった。
業務として成立しているか。
評価できるか。
数字があるか。
成果があるか。
「……成立してます」
短く言う。
「根拠は?」
アオイは、少し考えた。
「やっているから」
返信を書く。
第七運用課の対応は、
明確な数値評価を前提としていません。
ただし、
対応は継続的に行われています。
送信。
「それでいいの?」
シラベが聞く。
「いい」
「怒られない?」
「怒られたら」
少し間を置いて。
「その時、考える」
午後。
監査部門から、返事は来なかった。
代わりに、
別の部署から、軽い連絡が入る。
第七運用課宛
対応を引き継いでもらえますか
「……引き継ぎ」
「仕事だね」
シラベが言う。
アオイは、頷いた。
内容を確認する。
対応済み
解決には至らず
以降の対応が困難
「……いつもの」
「うん」
対応履歴を開く。
対応:受領
確定。
「終わり?」
「終わり」
「何も、解決してないよ」
「してない」
「評価、されないよ」
「されない」
「じゃあ」
シラベは、少しだけ笑った。
「何で続けてるの」
アオイは、少し考えた。
「……続けないと」
「うん」
「誰も、引き取らない」
夕方。
クロガネが、対応室に立ち寄った。
「外から、何か言われたか」
「少し」
アオイは答える。
「問題は?」
「……ありません」
クロガネは、頷いた。
「なら、いい」
「評価は?」
クロガネは、少しだけ考えた。
「評価できる仕事じゃない」
「……」
「だが」
一拍。
「必要な仕事だ」
夜。
個人メモを開く。
・業務として成立しているかと聞かれた
・数字では答えられなかった
・それでも、引き継ぎは来た
最後に、一行。
・仕事は、残っている
端末を閉じる。
外は、今日も静かだった。
正しく運用された世界。
その中で、
評価されない仕事だけが、
次の日へ引き継がれていく。
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