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禁忌魔術、マニュアル化されました ―あなたの問題は、仕様外です―  作者: 青谷 静


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第13話 使用回数に制限はありません

「……今日、多くないですか」


アオイは、対応室の前で言った。


「多いな」


クロガネ課長は即答した。


廊下の先には、待機用の椅子が並んでいる。

すべて、埋まっていた。


「朝から、ずっとです」


「そうだな」


「ええと……」


アオイは端末を確認する。


「これ、何件目ですか?」


「さあ」


シラベが肩をすくめる。


「数えてない」


最初の使用者が入ってくる。


「では、始めます」


詠唱。


光。


音。


空気。


「……成功ですね」


「概ね」


記録。


・使用結果:成功

・使用後異常:なし


次。


「次の方、どうぞ」


詠唱。


光。


音。


空気。


「……成功ですね」


「概ね」


「……次」


アオイは、少し間を空けてから呼ぶ。


詠唱。


光。


音。


空気。


「……成功」


昼前。


アオイは、椅子に腰を下ろした。


「……課長」


「なんだ」


「これ」


端末を見せる。


「午前中だけで、これだけ……」


クロガネは画面を見て、少し考えた。


「まあ」


「まあ?」


「講習会、増えたからな」


「使えるって、分かっちゃいましたからね」


シラベが言う。


「怖くないし」


「……禁忌ですよ?」


アオイが言う。


「元、ね」


午後。


対応室は、変わらず回っていた。


「次の方」


「はい」


「次」


「はい」


「……あれ?」


アオイは、ふと首を傾げた。


「さっきの人……」


「また来た?」


シラベが覗く。


「いや」


「違う人だよ」


「でも」


アオイは、記録を見返す。


「同じ内容、続いてません?」


・使用目的:不安の解消

・結果:成功

・異常:なし


・使用目的:不安の解消

・結果:成功

・異常:なし


・使用目的:不安の解消

・結果:成功

・異常:なし


「……これ」


アオイは呟く。


「同じじゃないですか」


「同じだね」


シラベは気にしない。


「でも、別人」


「使用回数に、制限は?」


アオイが聞く。


カンザキが答える。


「設けていません」


「……え?」


「必要がないので」


「必要がない……?」


「管理できています」


カンザキは言う。


「記録上は」


その時、端末が鳴った。


案件通知

禁忌魔術 使用要請


「……また?」


アオイは苦笑した。


「今日は、よく来ますね」


「来ない理由がないからな」


クロガネが言う。


「……どういう意味ですか」


「使って、問題なかったろ」


「……はい」


アオイは答えた。


「今のところは」


夕方。


対応室の椅子は、ようやく空いた。


アオイは、深く息を吐く。


「……終わりました?」


「一段落だな」


クロガネが言う。


アオイは、今日の記録をざっと見返した。


成功。


成功。


成功。


異常なし。


異常なし。


「……課長」


「なんだ」


「今日」


少し迷ってから言う。


「何か、起きましたか」


クロガネは、即答しなかった。


「……起きてないな」


「ですよね」


シラベが、軽く言った。


「いい日じゃん」


アオイは、個人メモを開いた。


・使用件数が多い

・でも、問題は起きていない

・「多い」こと自体は、異常ではない扱い


書いて、止まる。


「……あれ」


もう一度、廊下を見る。


椅子は空だ。


静かだ。


「……静かですね」


「そうだな」


クロガネが言う。


「よく回った」


その夜。


端末に、軽い通知が届いた。


お知らせ

本日の禁忌魔術使用件数

「通常範囲内」


アオイは、画面を見つめた。


「……通常」


どこからが、通常なのか。

どこまでが、通常なのか。


考えようとして、やめた。


今日は、疲れていた。


クロガネが、電気を消しながら言う。


「アオイ」


「はい」


「慣れるのは、早いぞ」


アオイは、返事をしなかった。

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