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第4話:錬金ギルドの影と初めての圧力

日の光が斜めに差し込む店内で、天音は再び調合に向かっていた。弟妹たちが遊ぶ声が奥から聞こえ、店は小さな賑わいに包まれている。しかし心の奥には、先日訪れた黒マントの男――錬金ギルドの下級員――のことがずっと引っかかっていた。


「……街の薬が、都の権力者の目に触れた今、油断はできない」


天音は今日も薬草を手に取り、火加減と分量を慎重に計る。小さな火花がビーカーを照らすたび、魔力の微かな揺らぎが液体に光を与える。今日作るのは、冒険者向けの疲労回復薬。現代知識で配合した成分は、魔力を整える作用も加わり、体力の回復を促進する。


昼過ぎ、店の扉が勢いよく開いた。先日の黒マントの男――錬金ギルドの使者――だった。顔つきは変わらず冷静だが、その視線には鋭い意図がある。


「天音様、我々は貴女の処方に興味があります。ただ……都の薬職組合と同じ条件で流通させるのは、ギルドとして難しい」


天音は一歩引き、冷静に答える。

「私の薬は、この街の人を守るために作っています。利益だけを追求されるのは受け入れられません」


黒マントは軽く笑みを浮かべる。

「なるほど……ならば、試してもらおう。貴女の処方で、ギルドの素材を使ってどれだけの力が出せるか」


その言葉に、天音は小さく息を呑む。実質、これは挑戦状だ。自分の薬の力が街の外で評価されれば、都の権力やギルドとの関係がさらに複雑になる。


「わかりました。条件は守ります。ただし、街の人々が困らない範囲で実験してください」


黒マントは頷き、去っていく。その背中に、天音は強い決意を込めた視線を送る。


夕暮れ、街外れの路地で、天音は一日の調合を終えた。弟妹たちに笑顔を向けながらも、心の中では思う。


――小さな奇跡で街を救うつもりが、知らぬ間に大きな渦に巻き込まれている。けれど、私が守るべきものは、この街の人々。だから、絶対に譲れない。


空に浮かぶ夕陽が、赤く街を染める。天音は調合台に並べた薬瓶を見つめながら、静かに誓った。


「誰が何を言おうと、この街を、守る――」


その時、店の奥の棚の一つから、微かに光る小さな瓶が目に入った。――禁断のレシピの断片。それは、街を救う薬師の力を、さらに大きなものへと導く鍵になるかもしれない。

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