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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

生きること。死ぬこと

作者: 木村カナメ
掲載日:2026/05/04

 今日、私は首を吊った。けれども結果は分かり切っていて、この通りしっかりと生きている。首にこそ真っ赤な跡が残っているものの、私の体重を支えきれず、ロープ代わりに使った縄跳びが千切れてしまった。


 これは決して私が重いわけじゃない。決して。


 千切れた理由も分かり切っている。この縄跳びはもう何度も使ってきたから脆くなっていた。だからこそ、もうすぐにでも切れてしまうなら、いっそ首を吊ってみようと思った。

 吊るための縛り方はネットで調べた。でもやっぱりちゃんとしたロープじゃなければだめなことがよく分かったし、自分で首を絞めるのとは比べ物にならない苦しさと恐怖があった。


 普段は死にたがるくせに千切れたそれを見て、呼吸していることを自覚して、心の底から安心している自分と、死にきれなかった悔しさ、恐怖に負けて安心している自分を心の底から嫌悪する自分がいる。


 結局私は昔から何も変われてない。体だけが大人になって、無為に時間を過ごしてばかりいる。首を吊ったのも逃げているだけ。現実と向き合うことが怖かった。今ここで自分を殺しておけばもうこれ以上苦しまなくて済む。そういう気持ちで首を吊ったというのに、失敗して安心してる自分がいる。


 自分という人間を振り返ると、本当にいつだって中途半端だった。変なところで現実と向き合って、変なところで逃げ出しての繰り返し。だからこそ常々うっすら死にたがって、なのに生き延びて、ただ呆然とするだけ。どこまでも中途半端だ。


 びっしりと刻まれた腕の傷も、消えることなく深く根付いた心の傷も、常々じわじわと痛みが滲んで私に生きている現実を叩きつけてくる。生きる苦しみから逃れたいがために残した傷跡が生きている事実を突きつけるの、どんなお笑いだよってね。


「あー……」


 思わず無力感が心の中で収まりきらずに口から飛び出ていた。もうそろそろお母さんが帰ってくる。気付かれないようにきちんと隠し通さなきゃな。

 千切れた縄跳びを机の引き出しに押し込んで、炊飯器のスイッチを押しに階段を下りた。

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