Ⅳ時限目(15)
「坊ちゃん!」
「若造」
(ウグイスダニ)
どのぐらい時間が経っただろう。私は、黒瑪瑙の上で目を覚ました。
「驚かせおって。暴走を止めるやいなや、昏倒したのじゃぞ」
クロエ王が上体を起こしてくれた。
「全ジゲンの『大地の害悪』は消えました。解毒も終えましたよ。クロエ様の分身が、速やかに解毒剤をかけて回られていたのでございます」
ロロの脇より、蒼い袖が差し出た。
(ウグイスダニ、顎を上げて)
アドミニスさんの冷たい指が、首を這った。
(印が刻まれていない。試みは成功したのよ)
ゲートの鍵もどきは、解毒されてクロエ王の足元に待機していた。
「上出来じゃ。特別に今日は二度寝を許すぞよ」
「すみません、私はまだ残ります」
緑柱石の鍵を構えて、ゲートに近づいた。
「暴走が止まったなら、開いて久々にジゲンをつながないと」
クロエ王、ロロ、アドミニスさんが私の後ろに付いてくれた。
「聞いたぞよ、昼は版画家の奢りなんじゃろ?」
「坊ちゃんをおひとりにはいたしませんよ」
(ゲートを開く分には、不問にしてあげる)
スクエイアに選ばれて、幸運だった。異なるジゲンの住人と、歩調を揃えてジゲンを救えたのだから。




