Ⅲ時限目(15)
(あなたに積まれた運命を、取り去ってあげたかった……)
グラウンドに散乱した折り鶴が、紙に逆戻りする。
(沈めていた記憶が、再び浮かんできてしまったわ。失敗ね)
「私と会ったのは、これで何度目だ?」
アドミニスさんの答えは、途方もない数字だった。
「ゲートの暴走を止めつつも、生き抜いてみせると約束したケースは?」
先ほどの50%の数字が、私に返ってきた。
「うち、生き抜く方法を考えていたケースは?」
私と会った回数の1%まで減った。
「他のスクエイアに知恵を借りたケースは、どうだ?」
アドミニスさんは驚愕する。
(まだ、いないわ……。まさか、最初の一人になるつもり?)
「惜しい。最初で最後の一人だ。次の代に鍵とスクエイアを引き継がせない」
蒼かった双眸が、落ち着いた色へと変わった。
「決めたことはやり遂げる。皆でゲートの捜索から始めよう」
(真面目で、大胆、そして強引……おかしな人ね)
外した髪飾りに息を吹きかけ、蒼い紙片をグラウンドに舞い散らせた。アドミニスさんは、体育大会に参加している跡見仁子さんを演じ直す。
(途中で投げたら、スクエイアをすぐに解散させてあげる。今日の続きよ)
素っ気無く、だが恥ずかしそうに伸ばした手を、私は忝く取った。




