Ⅲ時限目(7)
限りない時間と、果てしない空間。
数えれば気が遠くなるほど、あなたに巡り会った。
あなたの行動を、私の思い通りにできなくて歯がゆい。
あなたの選んだ未来に、私は膝を抱える。
いつもあなたは、自分を犠牲にする。
昼休みの占い結果が、帰り道・晩ご飯・お風呂にもつきまとう。
あの人がスクエイアとつながりつつある。あまり嬉しくない。ゆくゆくは、永遠の別れに至ってしまうから。
いっそのこと、あの人を歩けないようにする? ジゲンの研究ができないようにする? それは、私の心がやめてと叫んでいる。あの人のしたいようにさせたい。でも、これ以上は進まないで、と引き止めたい。
原因は、スクエイア。ジゲンⅡの小さい子と、ジゲンⅠの暗君を、消すしかない。争ってから、あの人の記憶を、もう一度沈める。まだ、やり直しがきく。
少女は布団を敷くより先に、両腕を高く上げた。左右の人差し指で、天井と平行になるように正方形を描く。
(あなたとすれ違う物語は、終わりにする)
正方形の縁が蒼く光り、風が無いのに数十枚めくれてゆく。蒼い折り紙が、滝のように少女の頭上にいっぱいかかってくる。
(私に降る雨は、全然止む気配がないの…………)
畳が折り紙で敷き詰められ、日々の象徴が追放される。少女は、中学生のシナリオに栞をはさみ、深淵の間に座る。
(二人で生き延びるのよ、ウグイスダニ)
ジゲンⅣのスクエイアは、手元の一枚を拾い、三角形に折った。他の折り紙が、真似をし始める。
(生涯忘れられない体育大会にしてあげる)




