Ⅱ時限目(10)
《本日最初のお便りでーす。ラジオネーム・捻頭さん、こんばんよつばー! なになに、いわれのない罪で、サークルの皆に嫌われてしまっています……それは大変だ。僕のサークルでは、ゴールデンウィークに、大学がある地域のイベントで、ドミノアートを毎年やっています。駅の巨大階段踊り場を借りて、全員で二日かけて並べましたが、翌朝、全部倒れてしまってました。最後に風よけカバーをかぶせた僕が、真っ先に疑われてしまいました。「人の努力をへし折りに来たのか」と皆の前でリーダーに叱られました。本番の前日だったので、寝ずに修復してなんとか間に合いました。でも、皆に口を聞いてくれなくなり、いない者扱いされて、つらいです。真剣に並べた作品を、台無しにするなんてこと、僕はしていません。細心の注意を払って、カバーをかぶせました。無実だという証拠は無いです。サークルを続けたいです。信頼を取り戻すためのアドバイスください。うーん、捻頭さん、とても苦しんでいるんだね。アタクシ、弁護したいです。なんにでも証拠を求められる世の中が、冷たい。捻頭さん、サークルに顔を出し続けてください。メンバーへの挨拶をやめないでください。途中できつくなるかもしれません。でも、一秒でもいいので、ドミノを倒していないことを、態度に表しましょう。大学でサークル以外のお知り合いはいますか。話を外部の人に聞いてもらいましょう。なるべく多くの人にです。ひとりで立ち向かわない。これは、アタクシが新人時代、上司の背中を見て学ばせてもらいました。また、お便りお待ちしています》




