Ⅱ時限目(8)
はじまりのおはなし
その日 せかいは まっくらでした
いちめん くろ くろ くろ
まっくらやみの せかいには たくさんの かりんとうが
ならんでいたと いいます
たくさんのかりんとうは すこしだけでもいいから
おたがいの すがたが わかるように なれば いいのにとねがっていました
つぎの日 せかいは あかるく なりました
いちめん きいろ きいろ きいろ
あたたかな ひかりの せかいには かりんとうではなく
いろいろな おにんぎょうが すんでいたと いいます
おにんぎょうたちは すこしだけでもいいから
さわやかな かぜが ふいて きもちよく なれば いいのにとねがっていました
つぎの日 せかいは すずしく なりました
いちめん みどり みどり みどり
すこやかな ひかりの せかいには かりんとうでも
おにんぎょうでもなく
かんがえるいきものの むれが すんでいました
かんがえるいきものは すこしだけでもいいから
こことはちがう ほかのせかいに いけたらいいのにと
ねがっていました
つぎの日 せかいは しずかに なりました
いちめん あお あお あお
つめたい ひかりの せかいには かりんとうでも
おにんぎょうでも かんがえるいきものでもなく
いちりんの ばらが さいて いました
ばらは これまで あった
くろの せかいと きいろの せかいと みどりの せかいを よみがえらせました
よっつに なった せかいに
それぞれの おさが とびらを つけました
とびらには □□□□□□ かぎを つくりました
かぎは □□□□ □□□□ □□□□□□に あずけました
こうして よっつの せかいは つながったのです
『ジゲン見聞録』第一章一節より