表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/74

Ⅱ時限目(雑談)



「おお、それか。綺麗だろ?」

 息子が、ライティングデスクの棚に並んであった石を指差した。

「こないだのフィールドワークで、削ってきたんだぜ。メロンソーダみたいだよな!」

 父は、あだあだ言う息子を抱き上げた。

「普通じゃ採れなくてさ、父ちゃん、久々にマブダチとやんちゃしてゲットしたんだ。母ちゃんとケーサツには、内緒だぞ」

 息子を膝に跨らせて、前後に自分の体を揺らす。

「こ、こ、こーひきさん。メロンソーダのんで、ぷく、ぷく、ぷく」

 きゃきゃきゃ、狸のような田舎くさい顔をしておいて、息子は甲高い声を出す。

「ハンサムな父ちゃんと、もっとハンサムな母ちゃんの間にできたってのにさ、お前は野暮ったいな」

 貶しているわけではなかった。美貌に吸い寄せられる人の中には、病み腐った輩もいて、辛き目に遭った。一粒種は、このまま育てば、不運を免れるだろう。

「大きくなったらどんな男になるんだか。父ちゃんと違って、真面目にコツコツ勉強して、偉い奴になっているかもしれないな」

 羽二重餅のごときほっぺをこねてやり、父は剽軽な表情から一転、深刻な顔つきをした。

「お前の運命をぶっとばす。おれが、代わりにやってやるんだ」

 息子が、踏切の警報音の真似をしはじめた。おんぶして、父は電車になりきってやったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ