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Ⅱ時限目(1)

 明鏡(めいきょう)中学校の最寄り駅である居道(おりみち)から二駅目が、止水(とめみず)駅だ。止水(とめみず)緑地公園は、ここと直結している。私が借りているアパートと緑地公園は、自転車で行ける距離なのだが、一旦、勤務先に向かわなければならなかった。今回は、ロロと「季節の小人」を連れて行くためだ。

「お休み中のところ、付き合わせてしまいまして、申し訳ございませんでした」

 風車の立つ丘に着いてすぐ、ロロが頭を下げた。

「謝るなら私の方だよ。つながりの塔の調査に手伝ってもらうよう来てもらったのだからね」

 私は草の上にビニールシートを広げ、ロロを座らせる。「季節の小人」こと、プリマヴェーラ・エスターテ・アウトゥンノ・インヴェルノは、少し離れた花畑でかくれんぼをしていた。

 ロロは、私達の世界ージゲンⅢの少女と変わらない容貌であるが、小人達は、顔が無く、三角帽子をかぶったマスコットのような姿だった。彼女達は、ジゲンⅢとは異なる世界、ジゲンⅡに住んでいるのだ。

 ジゲンはⅠからⅣまで存在し、かつて、各ジゲンを結ぶジゲンゲートが多数開放されており、私達は自由に行き来していた。百年前、突如発生した赤い炎がゲートを燃やしてゆき、残り四基をジゲンⅢの「鍵を持つ人」が封印した。以来、各ジゲンの交流に制限がかかった。例を挙げるなら、ジゲンⅢにいる私は、ジゲンⅡのロロと絵を介して会話することしかできなくなった……先月までは。

「ゲートの暴走に、ありがたいと素直に思いかねるのでございます。小人の四名様とわたくしめがこちらにいられるきっかけを、もたらしたのでございますが」

 ロロの首に巻いてあるリボンにぶら下がった黄玉が、陽光にきらめく。

「わたくしめは、ジゲンⅡのスクエイアでございます。この聖なる石を授かりましたからには、しっかり役目を果たさなければなりません」

 ゲートの暴走を止める者を、スクエイアと称する。 ロロは先月、ジゲンⅡのトップである教皇にスクエイアを任命されたのだった。

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