Ⅰ時限目(13)
「エスターテとアウトゥンノがつかまっちゃった」
段の上を小人がジグザグに走っていた。
「ロロねえちゃんもあそんでくれるのは、うれしいけど」
四人で一枚の絵に収まっているため、小人達は経験したことを共有できる。
「さいごにつかまらないと、やだよ」
小人に大きな影と小さな影が覆い被さった。
「ごめん、鬼ごっこはおしまいなんだ」
「皆様、夕ごはんをお作りになってお待ちしておりますよ」
ロロの手が伸ばされると、小人は垂直に跳ねた。
「すいせんには、どくがあるんだよ!」
悪あがきの蹴りは、ジゲンⅢの友達に受け止められた。
「韮と間違えやすいから注意、だったな」
水仙の飾りを付けた小人は、貝と貝とを擦り合わせた音を発した。ロロが小人の胴を持って、答える。
「つかまえましたよ、インヴェルノ」
冬は ジングルベルベル インヴェルノ、三個目のしゃぼん玉が、絵に帰った。
「最後は、支援学級の教室か」
ロロは探査のマホーを再び唱えた。
「はい。お二方はまだそちらに留まっていらっしゃいます」
雑音混じりの「今日の日はさようなら」が流れ出した。下校時刻を知らせる音楽である。
「このペースだと、残業は決まりだなあ」
鶯谷真は凝りをほぐすために腕を回しながら、幼馴染に微笑んだのであった。